2011年06月のアーカイブ

大原簿記学校

23年6月30(木)
大原簿記学校

福井の駅前、県庁のお堀に面した所に大原簿記学校が開校する。今までは福井駅より東へ約1Km余りのところにあったが、新校舎の完成と同時に一部を残して移転する。地方都市では新規開店の例が非常に少なく、開店や開業の場合も移転が殆どを占める。大原簿記学校のケースもこの移転に当る。しかし福井県庁前の中心地にオープンするというインパクトは大きく、学生数の増加が期待できる。福井駅前の活性化に取り組んでいる私にとっては正にわが意を得たりと喜んでいる。
新しく若者達が毎日集うということは、街の活性化にとって、最高の条件である。それも教職員を含めて1,000名近くの人が集うという。今まで「男通り」といわれていた福井駅から県庁への道路が、「ヤング通り」に変ることになりそうだ。
7月15日が竣工とのことであるが、開校の日が迫りつつあるのを胸を熱くして待っている。福井の駅前が大きく変る日となるであろう。


原発をやめると

23年6月29日(水)
原発をやめると

東日本大震災は大変な置き土産を残していった。福島第一原発の大被害である。日本有数の有力企業と自他共に認めてきた東京電力を一気に崩壊に追い込むかの如き大きな衝撃を与えたのである。そしてチェルノブィリの大事故に匹敵するといわれる程の災害となりつつある。3.11までに誰一人想像もしなかったことが起きたのである。そして今、世界中から原発に対する強烈なアレルギーがおきつつある。日本においても福島県知事をはじめ数多くの人々が「原発やめ」のコールを上げつつある。
私は長年に亘り原発賛成の立場を貫いてきた。特に8年前のアメリカ副大統領ゴア氏の「地球温暖化の危機」を共有するようになってからはなおのこと、原発建設推進に注力してきた。これは自民党時代からの国の政策が、一貫して原発推進にあったことを考えれば当然のことである。
今仮に、全原電を停めた時の日本の電力の状況はどうなるのか。これは30%という原発依存度から考えると、他の石炭、石油、天然ガス、太陽光発電、風力発電、地熱発電、水力発電のコストと比較すると、おそらく3倍のコストアップとなろう。日本の総エネルギー(電力)のコストは1.5倍に跳ね上がる。
第1次、第2次オイルショックを身近に体験した私としては、それだけは避けたいと思っている。消費税が5%から、近い将来10〜15%に跳ね上がることは確実であり、この二点だけを取り上げてもインフレの再来は間違いなく起きると思われる。今から準備おさおさ怠らないようにしておこう。物への投資、土地・建物・マンション等への投資も有利であることを忘れてはなるまい。

無駄を省く

23年6月28日(火) 
無駄を省く

企業においても、個人においても「無駄を省く」ことは必要不可欠のようにいわれている。よりよい仕事、よりよい生活をする上で、この「無駄を省く」ことは大変重要だというのである。
誰でも最初から無駄なことをしようとしている人はいない。やってみた後で、どうもそれが無駄だったのではなかろうかというので、反省をするのである。
よくよく考えてみると、人生において、無駄なことって本当にあるのだろうか。無駄だったように思われることはある。しかし後になって、無駄だと思ったことが大変重要なよい結果を生むことがある。最近になって思うのは「人生に無駄な事は何一つない」との考えに行き着いた。「人生で起きること、実行することは、すべてが有意義なのではなかろうか」。私は常に自問自答するクセをつけている。「否定語は使わない」「出来ないイメージは描かない」「温顔愛語で暮らしていこう」「失敗を糧としよう」。前向きの人生こそ私が望む人生である。


同志社人の集い

23年6月27日(月)
同志社人の集い

母校同志社大学はマンモス大学ではない。学生数は大学25,000人、大学院2,500人、女子大学6,500人と総合大学としては中規模といえよう。創立136周年を迎えようとしている。昨日学校法人同志社から大谷實総長以下8名の来賓を迎え、福井県下の大学、女子大学のOB、OGが集う「同志社人の集い」が開かれた。大学の総合評価のAAAを獲得したのは、同志社と慶応と東京大学の三校だけだとの発表に会場は沸いた。
新島襄が幕末に国禁を犯して函館からアメリカへ出国し、明治初期の日本へ帰国、最も封建的であった京都の地に明治8年(1875年)同志社英学校を創立、翌年同志社女子学校を創立。キリスト教主義に基づく自由教育、良心教育、国際教育の日本初の学校であった。爾来136年京都の地で育った学校の卒業生達は世界の各地で活躍中である。福井県内にも2,000名近くの卒業生がいるが、昨日は120名余が集い、旧交を温めた。
新島襄が創立時に、同志社が200年後には世界に役立つ学校として育っていくことを念じたのであるが、その日が近付きつつあることを実感し、同志社人としての自覚と誇りを再認識した一夕となった。

ライバルを持つ

23年6月24日(金)
ライバルを持つ

ライバルのいる人生はすばらしい。ライバルを持つことで私達の人生は変る。ライバルがいない時、自分でライバルにふさわしい相手を見付けるのだ。その瞬間から私達の人生は大きく変る。量的な変化だけでなく、質的な変化をももたらしてくれる。人には何らかの天から与えられた使命がある。それを成し遂げるために「ライバル」を作るのだ。
ライバルは身近な人でもよい。遠くの人でもよい。或いは歴史上の人物でもかまわない。常にその人の行動、思想を自分と比較しながら、人生を歩んでいけるような、ライバルの設定が望ましい。
学生時代を振り返ってみよう。あの時のライバルは誰だったのか。意識してその頃の自分の行動や思想とライバルのそれとを比較してみると、ライバルがいた事による有難味がよくわかる。そしてライバルに対する感謝の念が沸き上ってくるはずだ。
ライバルがいるおかげで人は数倍、数十倍の成長が可能になる。偉人といわれる人のまわりには、必ず切磋琢磨したライバルが存在する。
人だけでなく企業の場合も同じである。ライバルがいる企業、好敵手がいる企業は成長が早い。お互いが相手を見倣ってどんどんよい方向に進んでいくからだ。
私の場合も数多くのライバルに恵まれた。そしてそのライバル達への感謝を忘れたことはない。今でも秘かにライバルとして競争心を掻き立ててくれる人を持っている。生涯現役を提唱する私としては、それが当然のことなのである。

震災による廃車

23年6月23日(木)
震災による廃車

津波による自動車の被害は少なくとも23万台といわれている。廃車はスクラップにしてリサイクルに回す「解体」のものと、「滅失」と言って行方不明のものと、解体に回す価値のないものがある。この23万台には軽自動車が含まれておらず、軽を含めると約40万台が被害を受けたことになる。日本国内のすべての自動車の0.6%が一夜にして消えてしまったことになる。解体や滅失の申請をすると自動車重量税や自動車の保険料が還付されてくるので、最近になって申請する人が増えてきている。
このことは逆に車を必要とする人にとっては、新しい需要が生まれることになる。新車や中古車のニーズが震災被害地を中心に急増しているのは当然である。部品供給網の機能がズタズタになってしまったことで、新車生産が追いつかず6月までは供給不足の状態が続いていた。7月に入って各メーカーの生産ピッチが上り、市場は少しずつ安定を取り戻しつつある。
しかし一部の震災による廃車が海岸の至るところに山積みにされているのを毎日のテレビで見ていて処分のスピードの遅さに胸が痛む。不便な避難所暮しの方々の胸の内を思えば、政争を続ける政治家の顔が、時代遅れのものに見えてしまう。天から与えられた使命を忘れず、被災者救済に命をかけてほしいものである。

スーパークールビズ

23年6月22日(水)
スーパークールビズ

銀座に諸国民藝「たくみ」という店がある。志賀直邦さんが経営する民藝店で、日本民藝館と共に、民藝を愛好する人々の心の拠り所である。倉敷の民藝館や全国に散在する民藝店をまわっていると、民藝店には共通の雰囲気があることにすぐ気がつく。柳宗悦を中心とする民藝を「用の芸術」として再発見し、全国をまわって顕彰した人々の作品が多い。すべてが人間国宝に匹敵する作家達である。看板のデザインは殆ど芹澤げ雕遒任△襦その「たくみ」から「たくみ」という小冊子が送られてくる。今回が第50号である。いつも発行主の志賀直邦(直哉の甥)の巻頭言がある。今回は「火鉢と鉄瓶の温かさ」である。少し要約すると、3.11地震のせいで停電が頻繁にあり、寒いので火鉢を出してきて炭火をいれ、鉄瓶でお湯を沸かした。暗いので和ろうそく(13.5cm)を出してきてリビング、台所に三本つけた。暖かく、明るいのに驚いた。特に足元が温かく感じた。
今年の夏の暑さ対策はうつわだと思う。今回の災害でさまざまなことを考えさせられたが、炭、五徳、火鉢、十能、ろうそく、燭台、懐中電灯、湯たんぽ、鉄瓶、土なべなど、いままであまり使わなかったものが大いに役立った。原発も先端技術も高速道路もシステム化された供給網、流通網のもろさを実感したこの2ヶ月余りであった。
私はこの夏の電力不足を大いに心配している一人であるが、「うちわ」と「水」には大いに期待している。この暑い夏を乗り切るために、もっともっと知恵を出そうではないか。

節電対策

23年6月21日(火)
節電対策

大震災による原発事故に端を発した電力供給不安は今、日本全体に大きな影響を及ぼしている。企業段階、家庭段階あるいは業界段階で種々の節電対策が検討されている。冷房温度管理、クールビズ強化、休日の変更、省エネ機器、器具の導入などが進められているが、私達の会社はどうであろうか。勤務時間や休日の変更は当然検討中であるが、全CPを対象に省エネ型照明への切換を順次行っていく方針だ。新規投資を必要とするので頭が痛いが、毎月確実に実施していきたい。少し職場の雰囲気は暗くなるが、事務所の照明にも注意をしていきたい。
北陸電力の「8月のピークを何とかカットしよう」という企業姿勢に賛同して、私達の福井北ロータリークラブでは、夏の打ち水大作戦を行う準備をしている。福井駅前商店街と福井まちづくり会社が協力して同様の取組を始めている。暑くなりそうな今年の夏を何とか知恵をしぼって快適なものにしていきたいものだ。

原発のEPZ

23年6月20日(月)
原発のEPZ

原発の周辺で、防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲としてEPZが決められている。原子炉から半径8〜10Kmを規定している防災指針が、今回の福島原発事故の経験からすると、ナンセンスであることが判明。今後の見通しが求められよう。
自治体の知事では京都府がEPZの拡大を決定、長崎県などが拡大を検討中である。滋賀県では情報提供を要求している。最大の原発立地県の福井県西川知事は常に積極的な発言を続けており、政府の早急な対策を求めている。電力の需給が逼迫していることと、原発の安全性の追求は全く別次元の問題であり、安全性の問題を最優先させることが立地県の義務であると強く主張。
東電の福島原発の事故以来全国の原発が再稼動したケースはない。最大の立地県である福井県の西川知事の対応が注目されている。現在13基の原発の内、既に6基が停止中であり、1基が調整運転中であり、6月末日に2基定期点検に入り、11月に1基、12月に2基、来年2月には福井県内すべての原発が停止するという異常事態を迎える。菅首相の決断が待たれる今日この頃である。

消費電力のピーク

23年6月17日(金)
消費電力のピーク

毎年消費電力のピークが8月に到来する。各電力会社はその最大消費電力のピークをカバーする為に、発電の仕組づくりに永年取り組んできた。
原子力発電への依存度が30%にもなっている現在において、今回の大災害が発生した。福島第1〜4号機の廃炉に続いて、中部電力の浜岡原発が危険度が高いという理由で、政治判断に基づいて緊急停止となった。原発に対する逆風が高まる中で、トラブルによる停止や、定期点検による停止が次々と起きてくる。その際、トラブルの解決や定期点検の終了に伴う原発再稼動を地元首長が了承できるのかどうか、厳しい情況が出来つつあるように見える。
北陸電力は8月のピークを526万KWと想定しているようであるが、志賀原発の1号2号機の定期点検、不具合の完了のメドが立たず、既存の水力、火力を総動員して乗り切ると発表した。日本原子力発電の敦賀原発2号機がトラブルで停止しており、関西電力の原発も今年は次々と定期点検が始まろうとしている。
今年は暑い夏になりそうである。政府や経産省の早期の決断が待たれている。国の方針を一日も早く天下に公布し国民を安心させることが求められている。風力もいい、太陽光もいい、しかし現在の原発の稼動を早める手段を講じなければ、日本経済の明日はない。

コンセントなしで充電

23年6月16日(木)
コンセントなしで充電

IHIはアメリカのワイトリシティ社と提携し、非接触給電という技術の使用権を取得した。磁力を使って20センチ離れた距離から充電可能な技術とのことである。3.3KWの電力を90%以上の高率で供給するシステムを実験中との新聞発表(日経)があった。またトヨタ自動車もワイトリシティ社と提携関係にあり、今後の動向に注意が必要である。
またトヨタは独自にEVやPHV向の充電システムを開発したと発表。100分でフル充電(23.4km)とのこと、7月上旬に発売し、ディーラーをはじめ商業施設、ファミレス等への販売を予定している。200V対応でインターネット通信機能を備えておりいろんな活用方法が期待できそうである。
私達の会社も既に広く200Vタイプ6時間充電システムを販売中であり、市場の動向には更なる注意が必要となろう。市場の大きさは十分であるが、機器やシステムの操作性については日進月歩の精進が欠かせない。パナソニックなどの超大手の中で、経産省傘下の指定商品になっているところは当社を含めてまだ数社である。

若者が帰ってきた

23年6月15日(水)
若者が帰ってきた

福井駅前は、数多くの若者で毎日一杯になってきた。若者が帰ってきたのである。サイゼリア(イタリーレストラン)やマクドナルドなどの安いスナックや食事に人気が集まっている。JR駅や福鉄駅から西武までの人通りが増えている。アオッサ効果や響のホール効果も無視できない。駅前商店街や西武百貨店の集客努力によるところも多いと思われる。特に西武は百貨店としての魅力を発信し続けており、誠に有難い。
3・11大災害により、日本中が萎縮している中で、福井の駅前が最悪期を脱し、V字型回復に向けて上昇する機運を見せているのは、誠に心強いかぎりである。日本中に元気を発信できるよう、これからも努力を続けていきたい。

想定外

23年6月14日(火)
想定外

マグニチュード9.0の東日本地震と大津波は、東北から関東にかけて甚大な被害をもたらした。特に東京電力の福島第一原子力発電所は壊滅的な打撃を受けた。想像を絶する大津波によって電源が破壊され、同時に冷却用のポンプ類そして燃料タンク等の附属設備がなぎ倒された。自民党も民主党も経済省も保安院も学識経験者も、誰一人想定していなかったことがおきたのである。これは「想定外」のこととしてマスコミでも連日報道をされている。
私は原発反対者ではない。それ以上に40年前から日本経済を下支えしてきた原発関係者に常に敬意を払ってきた。今もそれは変らない。マスコミも政府も東電がこの事故の責任者を負えと言っているように聞こえるが、今回の災害の最大の被害者は、東電なのだ。それを忘れてはなるまい。一日も早い復旧と安定に向けて必死の努力を続けている東電はじめ関係者各位の姿は、私にとって、崇高でさえある。
想定外の事故がおきた。千年に一度しかおきないはずの大災害がおきたのである。今度二度とこのようなことにならないよう英知を絞り、その解決策を世界に発表していかなければなるまい。それが私達の使命である。
アメリカのビルゲイツが「小型原子炉」の開発を行うという発表がもう1年近く前にあった。これは「クローズド型」で、発電が終る100年先まで何の手もかけず、ウラン等の補供もせず発電を続け、終った後はそのまま数万年の先まで保管しようとするものである。今回の東電の原発にこの「クローズドシステム」が付加しておけばと残念でならない。世界中に現存する原発のシステムの総点検を行い、想定外の事態に速やかに対応できる新クローズドシステムが実現することを願っている。

福井大学産官学連携本部協力会

23年6月13日(月)
福井大学産官学連携本部協力会

この会が発足して16年になる。私達の会社の誕生と大差がない。役員の末席を貶しているが、福井大学を知れば知るほどよい大学だということがわかる。先々月のキラリ会の講師に福田優学長を迎えて福井大学の魅力について語っていただいた。印象に残ったのは、各プロジェクトリーダー達の名前をいちいち上げて賞讃されるその姿勢であった。3.11大災害の1ヶ月後の講演であったが、原発の安全性への危惧と信頼については皆が共感した。今日開催された協力会の理事会、総会では今年度の重点活動過大の議論となった。大学と地域との結びつきの強化、共同研究等の強化を確認し合うことができた。昨年度の共同研究の総費用は約17億円と右肩上りが続いている。地元産業界にとっても、大きな可能性を感じさせる数字である。そしてその研究開発が繊維、ライフバイオ、光電子、情報、ロボット、建設、自動車部品、原子力、電池、表面処理と多方面に亘る最先端技術であることが頼もしい。今後の産官学連携が地域を巻き込んで進むことに大いに期待している。

自動車生産急回復か

23年6月10日(金)
自動車生産急回復か

自動車生産(出荷額)は40兆円/年を超えており、就業人口は1割近くを占め、全産業中で最大の自動車業界は3・11以来急激な生産の減少によって国内景気に対する悪影響が心配されていた。トヨタは9月まではかなり落込むと発表していたが、ここへ来て、6月には震災前の計画比9割まで回復と訂正。日産は6月より前年並の生産と発表。ダイハツ工業は軽の生産が6月より正常化と発表。最悪はホンダで、現在は計画比5割であり、年内には正常化と発表している。富士重工は6割、スズキは7割で11月頃の正常化。三菱・マツダは10月の正常化とのこと。
全体的に見ると、心配された自動車の国内生産は、6月から急回復が始まり、最悪でも年内にはすべてが震災前の状態に戻ると思われる。この状態は、政府、日銀による発表とほぼ同じように、「半年間は苦しいが、その後は急回復するだろう」とのコメントに近い。現今の日本経済に対する車や電力の影響力は非常に大きい。まず復興のトップランナーとして自動車業界がいち早く立ち直ってくれたことに感謝したい。

片山幽雪

平成23年6月9日(木)
片山幽雪

京都観世会館で人間国宝片山幽雪の半能、半蔀を観た。久しぶりのことで片山氏の体調を心配しながら正面席で観賞させてもらった。流石に幽玄の能をしみじみ味わせていただき、感激した。「半蔀」は故片山慶次郎先生(弟さん)の最後の舞台だった。故人に捧げると共に、東日本大震災で亡くなられた人々に手向ける、夕顔の一輪だった。お孫さんの清愛君6歳は、猩々の祝言の舞を舞ってくれた。また今年3月19日に九郎右衛門を襲名された清司さんは、遊行柳を演じられた。九郎右衛門としての重厚さを思わせる。すばらしい舞台だった。観世小次郎信光の作で1514年3月19日初演を作者自身が舞ったといわれている。遊行上人を西行の朽木の柳の旧跡に導いた老人が、後半に法恩の序の舞。太鼓入り のリズム感と老人の舞がよく調和していた。
私は片山清司さんが「片山清司後援会」を結成されて以来何度か後援会能を観賞させていただいたが、これからは「片山九郎右衛門後援会」と名前が変る。次回は10月9日、夜、大徳寺瑞峯院にて開催される。今から開演が待ち遠しい。期待している。

おろしそば

23年6月8日(水)
おろしそば
福井のそばはおいしい。特に手打ちのおろしそばは最高だ。その理由はいくつかある。まず「タテ」が秘密。「タテ」とは、取れタテ、挽きタテ、打ちタテの三タテである。そばは旬のものである。新そばが喜ばれる由縁である。挽くのは石うすに限る。機械挽きは熱によりそばの香りや成分が損なわれてしまう。石うすでゆっくりと挽いていくと、香りが残る。そして打ちタテの名の通りお客の目の前で打ってくれる福井のそばがうまくないはずがない。
秘密の二つ目は、福井のそばは在来種なので小粒である。信州そばの半分程の小さいそば粒である。そして更科そばのように中身だけ使うのではなく、甘皮までを粉に挽くので、香りが高い。好みによって外皮をも使うところがある。そして色が美しい。緑色のそばである。緑色の原因はクロロフィルという葉緑体色素にある。これが外皮に近い甘皮部分にあるので、小粒であればある程よい緑色が出る。
秘密の三つ目は味である。これは食べてみないとよくわからない。「打ちタテ」の名の通り、お客の前で打ってくれて、ゆでて、おろし汁とダシと共に供される。大根おろしをすってからお客の口に入るまでの数分間の勝負だという。そばの水分、おろしの味の変化が刻々とおきる。これを見はからって供しているので、福井のおろしそばの味が絶品といわれるのである。
秘密の四つ目は栄養価である。そばの胚芽はそば粒全体にまきついているので、米の胚芽のようにもろくはない。しっかりとそばと共にある。それを丸ごと石うすで時間をかけて少量ずつ発熱を押えながら挽いていくので栄養価が高い。そばをゆがく時にお湯にとけ出す成分を必ず一緒に飲む習慣をつけることが大切だ。「そば湯を下さい」と言わなくても出てくるそば屋が一流である。そば湯に栄養分の半分がとけ出していると思えば、その味もまた格別である。

洋上風力発電

23年6月7日(火)

洋上風力発電
鹿児灘の太平洋上に、7基の大型風力発電機が昨年6月に運転を開始した。発電量は合計1.4万KW時である。来年更に8基を増設、更に沖合500mから4kmの間に100基の建設を政府等と協議している。完成時には50万KW〜100万KWの国内初の風力発電所になる。日本の沿岸の水深200m以下の風力発電の可能性は約12億KW(原発100万KW級の約450基分に相当、新エネ産業技術機構試算)と莫大な可能性を秘めている。
 現在この風力発電所を運用しているのはウィンド・パワー・いばらき(水戸市、小松崎衛社長)で、発電コストは、1KW当り10円程度と、火力や原子力並の優れものである。ちなみに太陽光発電は40〜50円とかなり高いので、風力発電、特に洋上風力発電が議論されることになろう。ウィンド・パワー・いばらきは私が以前勤務していた三谷商事が出資しており、大きな夢を感じさせる事業である。今後の展開を期待して見守っていきたい。

今こそチャンス

平成23年6月6日(月)
今こそチャンス

3.11以来、先行き不安とサプライチェーンの機能が分断されたことによる生産活動の停滞が起き、その影響が販売戦線にまで広がってきている。3月の国内自動車生産は前年比6割減、4月は5割減と強烈な下げとなった。5月の数字は多少回復していると思うが、予断を許さない。
 不動産業界も同様に、不要不急のものの購入は、先送りしようとの空気が強く、流通、賃貸、売買ともに縮小傾向にある。新聞、テレビの広告をうっても反響が乏しいので、同業の中には当分広告宣伝費は使わないという者も出てきた。
 反面、こんな時こそ業務拡張の絶好のチャンスだと、積極策をとる者もいる。景気が悪くなると賃貸ビルや賃貸マンションの入室率は必然的に低下する。オーナーは当然の権利として入居促進を要求してくる。営業力の弱い業者はこのような時期に淘汰されていくのである。
 私の知人も長い間他社で管理をさせていたが、あまりにひどいので変りたいと言ってきた。なるほどこれこそピンチはチャンス、時代は厳しいが、対応できる者にとっては大きなチャンスの到来である。一事が万事、そのつもりで周囲を見渡してみると、困っている人は山ほどいる。この方々の為に何が出来るかを考え、そしてその方策を見つけ、解決方法を実行していく事が求められる。
 満室満車経営はわが社の金看板である。

ハウスオブヤマナカ

23年6月3日(金)
ハウスオブヤマナカ

日本や中国・朝鮮・台湾の骨董品を取扱う店をNYCでオープンしたのは、山中商会即ちハウスオブヤマナカである。山中商会は大阪を中心に一族が商売をしており、特に骨董、茶道具をはじめ日本の古美術を取扱っていた。フェノロサや岡倉天心の知遇を得て、NYCの五番街のロックフェラー所有のすばらしいビルに東洋美術の店舗をオープンしたのである。爾来太平洋戦争が激しくなって、強制的に閉鎖となるまで、全米にボストン店、シカゴ店、フロリダ店と拠点を広げて、各地の美術館、博物館をはじめ有名なコレクターと親密な取引を続けていた。特にロックフェラーとの取引は、山中定次郎のアメリカでの信用形成に大いに役立った。ハウスオブヤマナカのアメリカでの歴史は、東洋古美術が大量にアメリカに流入する為の突破口の役目を果したのである。その美術品の質と量は、想像を絶するものである。
開戦と同時にアメリカ政府に接収されたハウスオブヤマナカの資産の詳細は不明であるが、同時に接収された三菱商事や横浜正金銀行などと一緒に戦後返還交渉を行ったが、時効により一円の返還もなかった。明治以来50年以上に亘って営々と築き上げられた商圏が雨散霧消してしまったのは残念である。戦後アメリカ各地に残った旧店員達の再開が相次いだが、今残っている所を知らない。

過当競争

23年6月2日(木)
過当競争

百貨店のクローズが続いている。宮崎県の都城市、長野県の諏訪市、長崎県の長崎市、山形県の酒田市などの地方都市の百貨店だけでなく、神戸市や埼玉県川越市や東京の新宿の店舗もクローズとなっている。規模が小さいところが多いようで、逆に主力店舗は増床しているという。全体では、昨年末の店舗面積が2014年には約1.5倍に増床されるというのである。売場面積当りの売上高はずっと減少傾向にあったにもかかわらず、百貨店業界は増床競争に入ったのである。明らかに過当競争であるが、生き残りをかけた戦いになる。
郊外型スーパーも百貨店と同じ状態である。百貨店業界との熾烈な競争を勝ち抜いたはずのスーパーは、最大のダイエーの凋落が示す通り、増床に増床を重ねた結果、売場面積当りの売上高も、売上総利益もピークアウトし、不採算店の撤退や弱小スーパーの淘汰が始まっている。
 家電販売店やドラグストア、ディスカウンターなどの新しいカテゴリーキラーのグループでも情況は全く同じである。
 そしてこの傾向は流通業界にとどまらず、生産分野でも、グローバル時代を迎えて、価格競争が繰り広げられている。
 百貨店業界の過当競争が最もわかり易いが、それ以外でも、あらゆる分野で、日々競争が行われ、優勝劣敗の厳しい時代を迎えている。その優劣を分けるキーファクターが、単に価格だけにとどまらず、品質だけにとどまらず、真に消費者のニーズに合致することになるよう願いたい。
 消費者を無視した過当競争は社会の破壊者への道であることを自戒せねばならない。
 韓国や台湾あるいは中国での競合相手の成長や、欧米各国のコングロマリットの姿に怯えるのではなく、真の消費者ニーズに合致した企業が必ず生き残ることを肝に銘じるべきである。

1をとれ

23年6月1日(水)
1をとれ

癸韻鉢2では月とスッポン程の差があるといわれている。月とスッポンとの比較は面白いが、異質な程の大きな格差があるということであろう。業界での1と2を隔てる壁は大きい。
私はいつも1をとることにこだわる経営を続けてきた。常に小粒ではあるが、ピリリと辛いといわれる企業を目指してきた。県内初、日本初、世界初の何かを追求してきたのである。
例えば東京市場に進出した時、中心部は他の大手の激戦地であった。私達の介入する余地は非常に小さかった。そこで他社の進出していない世田谷区を徹底的に攻め続けた。小口のコインパーキングでは世田谷区のシェアーは私達グループが第1位である。本社のある福井市は勿論第1位であるが、金沢市、富山市、長野市など地方都市で強いのが当社の特徴である。
太陽光発電や風力発電をコインパーキングに取り入れたのも業界初である。JR貨物との提携も業界初である。LED看板の採用も、スイカカードの採用も早かった。今ではかなり普及した集中コールセンター開設や遠隔自動監視、管理装置の開発も早かった。今では殆どすべての駐車場への設置が完了しつつある。これ等の施策はすべてお客様やお取引先様の為の開発投資である。
 電力供給不足の時代を迎えてバッテリーによるバックアップ電源を用意してお客様に喜ばれている。電気自動車の充電システムの設置も着々と進行中である。1をとることは決して不可能ではない。要はやる気と勇気と決断だけである。