2011年12月のアーカイブ

岩手花巻大沢温泉

12月29日
岩手花巻大沢温泉
ネット予約で一番人気の「大沢温泉」で宿泊した。何がそんなに評判がよいのかを確かめたかったからだ。東北三県の災害地を慰問した時の宿泊地であった。
ナビで探していったが割合簡単に見つかった。渓流沿いの大規模な和風旅館である。
旧館と新館と自炊部の三つに分かれており、人目につかない静かな環境だ。
大沢温泉は福井県と石川県の県境にある山中温泉とよく似た立地であるが、よりひなびた雰囲気である。
ハード面の特長は三館に混浴を含めた湯がいくつもある。200年の歴史があるカヤブキ屋根の旧館が面白い。3食付か自炊付の自炊部があり、ユニークである。川の両岸を使って自然を満喫できる施設になっている。
ソフト面の特長は三館の浴室を自由に湯めぐりすることが出来る。夜間の渓谷のライトアップは幻想的だ。到着時の接待と説明は明るくハキハキとしており、好感を持てる。部屋での夕食も親切で気分よくさせてくれた。地産地消で地元の食材を使った料理に舌づつみを打った。
「誇るべきもの」がいろいろ工夫して作られていて、とても好感がもてる旅館である。大震災の直後は客が激減したが、その後持ち直しているとのこと。今後の健闘を期待したい。

漂泊の系譜

12月28日
漂泊の系譜
日本列島は南の沖縄から、北の北海道まで気候、風土が大きく異なっており、同じ国とは言い乍ら旅をすると、違う世界を経験できる。
そこから旅へのあこがれが生まれ、漂泊の詩人、歌人、俳諧師が誕生した。彼等は先人の足跡を尋ねて、先人を偲び、同じように詩や歌、俳句を残している。その旅は現代の豪華な旅や天皇の行幸などとは全くかけ離れたものであった。まさに「漂泊」の名にふさわしい旅である。
鴨長明の方丈記、吉田兼好の徒然草、そして西行法師や松尾芭蕉の吟詠をつづりあわせてみると、私達日本人の心の奥底に漂泊の旅へのあこがれが強くあることに気付かされる。私は商社マンとして日本中をまわり、世界中をかけまわったが、自分の心の中に常に詩心、歌心を強く感じていた。いつの日か詩をかきたいと思い乍ら、今日までまだそれを果たしていない。豊田三郎画伯が「私が納得のいく絵を描くようになったのは70歳、いや80歳くらいからだよ」と教えられたが、私も早やその年齢に達しつつある。

私心

12月27日
私心
人間にはいろんな欲望がある。欲望は人の心を惑わす事が多い。欲にとりつかれて物事を考えると、なかなかいい知恵が浮かんでこない。
「いい知恵」を思いつくには「私心を去る」ことだ。私心を去れば不思議なことに、思いもかけぬすばらしいアイデアが出てくる。よこしまな心で、欲望の命じるまゝに何かを考えても、ろくな事を思いつかない。そんな時は必ずといっていい程に大失敗する。
「私心を去れ」と古人は言っている。自分の為でなく他人の為に何が出来るかを考えることである。「私に何が出来るのか」をとことん考えていくと名案にたどり着く。
私達は「他人の為に働く」その為に生かされているのだ。その大切なところを忘れてはなるまい。

情報の発信

12月26日
情報の発信
福井は魅力が一杯である。福井の市街地は勿論、福井県下どこへ行ってもすばらしい。
人情は豊かで人々は優しく、自然は豊かで美しい。山海の珍味にあふれ、おいしいものでいっぱいだ。
これ程の良いところは日本広し、世界広しといえども、よそには見当たらない。だが観光客は少ない。福井の魅力を知る人も少ない。地元に住んでいる人々も自分の魅力、住んでいる所の魅力を自覚していないから情報発信が出来ていないのだろう。勿体ない話である。
例えばシンガポールという小さな都市国家がある。かってシンガポールの首相は「ルックイースト」と国民に呼びかけ、日本を教師として、「日本に追いつけ」とアピールし、国民のコンセンサスを得て、今やその理想を実現しつつある。観光客の数では日本全体と変らない実績を上げている。
最近では逆にシンガポールに学ぶべき事の方が多い。それは「情報発信力」である。福井の魅力を知っている日本人は何人いるのだろうか。世界中では何人いるのだろうか。考えれば考えるほど悲しい気分になる。情報発信力が欠けているからである。
「情報の発信」は誰でも出来るのである。かって「越の寒梅」という新潟の地酒が「幻の酒」として日本酒愛好家の間でもてはやされた事がある。未だに「越の寒梅」を贈られると嬉しいのは人情だ。新潟の人々はどこへ行くにも「越の寒梅」を持参した。また地酒のアテとして、魚の身の瓶詰めを持参した。新潟県人自らPRしているのである。福井の皆が地元の珍味をPRするようになれば福井の魅力はおのずと世間に知れ渡る。それが「情報の発信」である。私は時々新聞社に寄稿して「福井の魅力」を発信している。私のブログもその一手段である。魅力いっぱいの福井を一人でも多くの方々に知らせたくて書いているのである。

福井市長選

12月22日
福井市長選
市長選挙が行われた。投票率23.64%と歴史的な低い数字となった。立候補が現職と共産党候補との一騎打ちとなった。現職には全党(共産を除く)の支持支援となり、市民の関心が盛り上がらない結果となった。当選は当選に間違いはないが、有権者の4分の3以上の人が棄権したことを甘くみてはいけない。行政に対する不信の表れかも知れない。そう考えると当選した東村新一市長は今後の市政に今まで以上の取組みをしていただかなければならない。前回4年前の市長選の時のスローガン「新幹線と駅西再開発」が今回も同じように使われていた。大きなテーマであり、進捗が難しいことは当然であるが、今後は何としても実現して欲しいと市民は熱望している。県都福井市の玄関口が十年以上に亘って荒廃しているのは県民にとっても納得がいかないだろう。
新幹線のメリットはもっと解り易く説明する必要がある。
例えば福井、東京間は現行3時間30分から、2時間40分となり50分節約できる。福井県への経済効果は約260億円/年との推定である。大きなメリットが出てくる。
駅西再開発のメリットは西武百貨店だけに頼っている状態から2番目、3番目の魅力あるスポットとしてみんなの期待が集まっている。地元の地権者の意見を吸い上げて的確でスピーディな対応を望みたい。

合同開発倒産

12月21日
合同開発倒産
創業昭和25年、設立昭和40年の合同開発が倒産し、福井の不動産業界にショックが走った。資本金2500万円、従業員19名、メインバンク福井銀行、年商約20億円の福井ではトップクラスの企業である。共同で福井駅前の分譲マンション「エリアス」を販売していた私達も、事前予告は全くなく寝耳に水のニュースとなった。
福井市の駅前の活性化に共に力を合わせて働いていた私にとって水上幸一氏は盟友であった。正に「残念だ」の一語に尽きる。エリアスの分譲中の途中での事故となれば、私も放ってはおけない。当社の社長とも相談し、エリアスの販売に対して、既入居者の方々、今契約途中の方々、これから購入しようとされている方々へ、全面的な支援と協力を惜しまない旨、公表することとし、直ちに実行した。
時には天は突然大きな試練を与えてくれる事がある。私の場合も何度もそんな試練を乗り越えてきたことを今更のように思い出す。水上幸一氏がこの試練を乗り越えてまた元気な姿を表してくれることを切に願っている。

NHKのパワー

12月20日
NHKのパワー
ちりとてちんで若狭が有名になり、若狭塗の箸の需要が急増し、若狭への観光客が増えたことがある。今年は戦国の姫たち「江」のおかげで滋賀県の長浜市、福井県の柴田神社が大いに賑わった。長浜生まれの私は月に1,2回は長浜を訪れているが、長浜は「江」の次を考えている。福井の私達はと思うと私達福井にはまだまだ沢山の宝物があることに気付く。継体天皇や神功皇后、越前・若狭の伝統工芸、八百比丘尼、結城(松平)秀康、橋本左内、由利公正など福井を舞台とする歴史上の有名人は数多い。NHKがほぼ一年に亘って連続ドラマで放映してくれる効果は大したものだ。
柳の下のドジョウを探すわけではないが、県をあげてすばらしいドラマを作り上げようではないか。「家康の子」という「結城(松平)秀康の生」を推す人もいる。これもまたよしである。

カニのシーズン

12月19日
カニのシーズン
師走となり、越前ガニのシーズンとなった。今日は東京から6人のお客様を迎えることとなった。練りに練った2日間の福井の観光コースを案内することにし、まず鯖江市の酒蔵「梵」を訪ねた。小雪のちらつく中を庭の扉を開けて座敷へと案内され、加藤代表より流れるような魅力にあふれた語り口で、酒蔵の歴史と銘酒の特長を披露していただいた。その後は蔵の中を懇切丁寧に案内いただき、その威容に驚いた。最近完成したばかりの新しい蔵には石巻出身の平野明杜氏の挨拶を受け、出荷数日前の原酒、そして搾る直前の原酒を試飲し、その違いに驚嘆。今日は外気も冷たいが蔵の中は更に冷えこんでおり、全員コートをしっかりと着込んでいるが、それでも寒い。やっと暖かい座敷へ戻りいよいよ本格的な「梵」の試飲となった。鶴首の特長のある青い「超吟」から、1000mℓの表彰カップ型の「夢は正夢」、そして「日本で最初に市販された極秘造大吟醸」、世界一の評価を受けた「純米大吟醸」、水のように喉越しのよい大吟醸「ゴールド」などの最高の日本酒を次々と試飲しながら、加藤社長の加藤節に聞きほれていた。アテは特別に用意してもらい、さばいてもらった「セイコガニ」と「焼きサバ」であった。お客様は身も心も温かくなってホテルへ向かわれた。東京からのお客様を歓迎するように師走の空からチラチラと小雪が舞っていた。

私の思い

12月16日
私の思い
人間思い込みが大切だ。「意志のある所、道あり」といわれる。
何をするにしても、まず激しく願う事が求められる。これをやり遂げるぞという固い決意である。やり遂げたい自分の目標を、朝に夕に確認し、その達成に夢中にならなければならない。思いが強ければ強いほど思いは遂げられる。思いが中途半端であれば、その達成は難しくなる。成功するかどうかは私達の心次第である。望みが大きすぎて思いが強くても、成功しない時もある。しかしそれでもあきらめず努力を続けると、道は開けるのである。小さな夢でもよい。命がけで他人の為に尽くせるような夢を持ちたいものである。
私は残された人生でそんな夢を追い続けたいと願っている。

高齢者と気温

12月15日
高齢者と気温
高齢者になると気温の変化に一喜一憂する。肉体的に気温の変化に対応する機能が衰えてくる。その冬季の老人の死亡率が大きく跳ね上がる。毎年1月と2月は危険月である。
12月と3月も注意が必要である。この傾向は男女の性別にはあまり関係ない。いよいよ12月に入り私達高齢者にとっては健康に留意せねばならない季節になった。
今年は雪が多いと言われ出した。インフルエンザに気をつけよというので予防接種を受けようと思っている。
若い頃には思いもしなかったことが気になるようになってくる。「お元気ですね」とか「お若く見えますね」というお世辞がうれしくなるようでは話にならぬ、そう云いつつ笑ってしまう咋今である。今日一日の気温差(最高温度と最低温度の差)が気になる。気温差が10度を超える日は要注意である。

魅力ある個店

12月14日
魅力ある個店
多くの識者から「福井駅前活性化」についてアドバイスをいただいてきた。賑わいを取り戻すには何をすればよいのかというテーマである。その答えは「魅力ある個店をつくれ」ということだ。「店の売りをハッキリさせ、それを磨き上げて他の追随を許さない程の店にする」「自分の店を創り上げたら、次は仲間を増やしていく」「二店から三店と仲間を増やしていくことで街は少しずづつ変わっていく」それだけではだめだ。新しい店主を探す必要がある。アントレプレナーや女性、老人、家庭の主婦が有望。
私達は西武百貨店通りに、そのような希望に満ち溢れた方々に、新しい店舗をオープンする為、若い人や女性達、そしてシニアの方々に夢を実現していただく機会を準備して、コラボしたいと待っている。
福井の駅前には成功への道が待っているのだ。
21世紀のキーワード「エコライフ」を冠せたエコライフプラザである。
スマートシティーのまちなか拠点として魅力ある個店づくりをめざしている。

TPP環太平洋経済連携協定

12月13日
TPP環太平洋経済連携協定
TPPは一部の大企業、特に輸出産業のためにプラスになるという考えが多い。
本当だろうか。日本の食料品の価格は高い。例えば牛乳1ℓは日本で216円、アメリカでは100円、イギリスでは99円、豚肉1kgは日本で2400円、アメリカ828円、イギリスでは798円である。これは日本の農業を守るためということで、輸入関税を高くしているからである。農業を守るために国民全体が高い食料品を買わされている。TPPに加入し、関税が徐々に撤廃されていくと、日本の農業は体力を増し、競争力を高めるであろう。国民はTPP加入と同時に広範囲にその恩恵を受けるようになる。
TPPに反対していると大企業は海外への生産シフトをどんどん求めて行ってしまう。毎月新聞テレビでそれが報道されている。メーカーだけでなく最近では外食チェーンや小売チェーンまでもが海外での投資を増やしている。早く手を打たねばならない。

中古住宅

12月12日
中古住宅
新築の分譲マンションを手がけるようになってもう早や40年が経過した。
最近の日本は、住宅がすでにいきわたって、国民すべてが充足できる丈のものが建設済である。高齢者が老人ホームや病院などに入った後の住宅やマンションが空家になるケースが多くなってきた。相続した古家を持て余している人も多い。国交省の予測では、中古住宅マーケットの規模は約4兆円、リフォーム市場は約6兆円とのことである。2020年にはこれを倍増させたいという。現在の新築住宅市場の規模を2020年までに追い越してしまうのである。有望市場が眼前に表れたのを見落としてはならない。アメリカやイギリスをはじめEU諸国では中古住宅市場は巨大である。日本も必ずそうなる。今から準備が必要である。

街づくり

12月9日
街づくり
40年前のニューヨークのソーホーは古いレンガ造りの倉庫や、小さな工場が集まっていたあまりパットしない街であった。そして空屋が多かった。その空いている倉庫や工場に目をつけたアーティスト達が次々と集まってきた。そこに住んだり、絵を描いたり、彫刻を創ったり、音楽を演奏した。人が集まるとおしゃれな店がオープンし、おいしいレストランもオープンするようになる。気がついた時、ソーホーは芸術的な雰囲気のある観光地となっていた。若者の集まる街、アーティスト達に好かれる街、暖かい人間同志の交流が生まれる街、そんなソーホーのような街が福井でも作れないだろうかと思っている。
これからは1億総アーティストの時代である。ミュージックやアートが私達の生きがいになる日が近いと信じている。

スウエーデン

12月8日
スウエーデン
最近スウエーデンに興味を持つようになった。遠い北欧の国というイメージから、ひょっとしたら理想の国なのかなと思い出したのだ。北陸という暗いイメージを持っていた福井県を「理想境」に変えたいと願っている私にとってスウエーデンをもっと研究する必要がありそうだ。「ノーベル賞」で毎年必ず話題になる国がスウエーデンである。キングダムオブスウエーデン(英語表記正式国名)、スウエーデン王国はフランス人の先祖を持つ王様がいる。ノーベル賞授賞式には必ず登場し、直接授与される。王様は英国や日本と同じように国の象徴であり、外交の精華である。
またスウエーデンは世界一といわれる福祉国家である。税金は世界一高い。租税負担率は50%を超えている。日本は25%だ。勤労意欲は高い。最近の日本のように福祉を充実すると勤労意欲が減退してしまうようなことはない。勤勉である。働く事を楽しむ気風がある。政府への信頼度が高い。これは政府がスピードある政策を次々と実行しているからだ。企業の税金は安い。イケアやH&M、GAPなど世界トップクラスの優良企業がある。鉄鉱石や木材関係のように資源の力をフルに発揮できる企業も多いが、デザイン力やブランド力で世界を制覇した企業も多い。
福祉国家といわれるが、福祉の根幹である年金制度は常に軌道修正をしながら必死に守られている。今日のようにスウエーデンが理想の国に近づいてきた発端は第2次世界大戦終了からである。そこから新しい福祉国家への道は始まった。日本と同じ道である。

公営住宅

12月7日
公営住宅
全国の公営住宅が泣いている。老朽化したもの、エレベーターのない中高層アパート、老人ばかりになったもの、入居者が殆どいなくなったもの等々、公営住宅は危機に瀕しているところが多い。
この対策に、3,11大災害が使われている。私達民間業者の賃貸アパートを無償、あるいは安価で貸し出しているのと同様に全国の公営住宅が被災者救済に使われているのは大変すばらしい。
同時に古い利用されていない公営住宅を根本的に見直す時期にきているように思う。神奈川県では、派遣切りなどで社員寮を追い出された非正規社員に、県営住宅を安価に優先して提供をはじめている。横浜市では公営住宅をリフォームし、家賃1万円で市民などに提供をはじめている。
県民や市民の財産である公営住宅を朽ち果てさせることは許されない。この活用、再生をぜひやらねばならない。「勿体ない」思想を掲げている私達が先頭に立ってはじめようではないか。

国の財政の透明度

12月6日
国の財政の透明度
民主党が早くに打ち出した埋蔵金15兆円の追求はどうなったのか。
特別会計に着目したのは正解であり、その積立金、準備金に焦点を絞ったことも正しい。財政は一般会計と特別会計に分かれているが国民の目にふれているのは一般会計の100兆円足らずだけである。特別会計は400兆円近くある。実値は200兆円弱。このうち約80兆円近くが国債償還及び利払いに使われている。
企業会計では資産、負債の総資産や純資産の内訳、損益を一覧できる貸借対照表と損益計算書、そしてキャッシュフローの明細の発表が義務づけられている。これに対して財政は一般会計だけが突出して発表され、マスコミの興味もこれに集中してしまっている。特別会計の議論があまりなされずに各省庁やその傘下の下部機構にまかされている。独立行政法人などである。そして特別会計の剰余金、積立金勘定に注目すべきであるが、これは放置されている。
国家財政において債務は1000兆円といわれている。
資産は600兆円ともいわれている。純負債は400兆円。一般会計、特別会計の会計が300兆円とすると純負債400兆円は年間国家予算の約1.3倍。GDPの約1倍以下となる。日本国民の貯蓄約1400兆円と比較すると国や公共団体の負債は小さくはないが、それ程心配することはない。要は早く消すことである。その為には財政の透明度を上げる必要がある。各省庁別の特別会計を一元化し、毎年国民に広く公表すべきである。透明度を上げていけばイヤでも純負債を減らさざるを得ない。

新島襄の写真

12月5日
新島襄の写真
東京駅の丸の内口に新島襄の写真を発見して思わず歩を止めた。同志社大学の入学志願者募集のポスターである。新島襄が理想とした教育理念がそのポスターの中に高らかに謳われている。「二三の英雄を生むのではない。国の良心ともいうべき多くの若人を生み出すのだ」大きな愛の心で学生達を優しく包み込んだ新島の精神を私達は見失ってはならない。そして同志社の「良心」をたとえ一刻たりとも忘れることは出来ない。新島の目が常に私達に注がれているのを感ずる今日この頃である。
京都という千年の古都の中心にあり、多感な青春時代を与えてくれた同志社大学という存在が私の人生にどれ程大きな影響を与えてくれたことか。目を閉じるとあの青春時代の同志社の校舎が蘇ってくる。母校への思いが胸にせまる瞬間である。

美しく老いる

12月2日
美しく老いる
後期高齢者という言葉が出来た。75歳以上の人をそう呼ぶ。現在1460万人おり、日本の総人口の11.5%とのことである。昭和34年大学卒の友人達はみなこの入口に立っている。久しぶりに会い酒を飲むと、ついつい健康の話になる。薬の話になる。私はあまり興味がないが、誰とでもこの話になる。物忘れ、ボケ老人の話である。女性に更年期があるのと同じように、男性にも更年期があるという。女性は女性ホルモンを投与してもらうと、よく効くとのこと。男性は男性ホルモンを皮膚に塗るとよいとのこと。テストステロンを摂取するとよいとのこと。
ボケが一番こわい。ボケにもいろいろあり、大きく分けてパーキンソン病と老人性ウツ病と認知症がある。症状から見分けるのは難しい。パーキンソン病はエルドーパを飲むとすぐよくなる。抗ウツ剤を飲んでもダメなら認知症だ。認知症の約半分が将来アルツハイマー病になるとのこと。
血管障害の予防に気をつけることが大事のようである。適度のストレスからの開放、バランスのとれた食事、特に量をぐっと減らす。適度な運動も必要である。歩いていると足元が気になり下を見ることが多い。若い人は足元を見て歩いていない。その歩く姿の差に老いを感じるようになってきた。時々意識して青空を眺めて歩くようにしているが、通りのショーウインドーにうつる自分の姿を見てあわてて、胸をはって歩き出す。「姿勢が大切です」と先輩に言われたのを思い出している。

忘巳利他の心

12月1日
忘巳利他の心
「私に何が出来るのだろうか」と自問自答して、東北三県の慰問に出かけたのは沢山のボランティア達である。老若男女達である。私と妻も東北三県の旅に出かけた。同じようにNHKの特別番組で90歳近い瀬戸内寂聴さんが青空説法を行っている。被災地をまわって5人、10人の集いから100人規模の集いまで何回も辻説法をおやりである。その中で「忘巳利他の心」についての話が出た。私達の会社の社是の「利他の心」と同じである。
ボランティア活動は、自分を忘れ、自分の事は省みず、被災した方々の為に行う奉仕活動である。その最前線で働いている若い人との出会いの場で、寂聴さんはこの仏教の精神を話された。人は何の為に生きているのか、「食べるためか」という問いは敗戦後の食糧難の頃、食べるものがなく餓死する人、栄養失調で死ぬ人を見てきた私達にとっては、笑えないことだった。「働くため」という答えは多くの人が賛同してくれたそうである。寂聴さんはそれを「巳を忘れて、他人の為に働く」ことが生甲斐につながるという。私も同感である。ボランティア活動をしている間、また活動した後、いつもさわやかな小さな満足を経験させてもらっているからだ。