2013年05月のアーカイブ

京都

5月31日
京都
福井を根拠地と定めてから54年になる。故郷の長浜には高校卒業までの18年間住んでいた。福井での生活は丁度長浜の3倍になる。京都に親戚が多い。祖父母や両親が信心深く、幼少の頃より年に何回か家族旅行をした。行先は京都。お参りするのは本山の知恩院と、北野天満宮、天津神社、平野神社の衣笠周辺であった。母は大丸百貨店へ寄りたがった。理由は和服の展示である。流行のえり型を見たいという。京都の町は刺戟がいっぱいあった。そしてそれ以上に興味があったのは鈍行で行く汽車の旅だ。
車窓から見える世界は、いろんな事を教えてくれた。大きい家、小さい家、広い庭、小さい畑、人々の生活が手にとるように判る。京都へ行くよといわれるたびにその日が待ち遠しく、前日の夜は興奮してなかなか眠れなかった。青春時代の大学も京都を選んだ。後期高齢者となった今でも、月に1回は、サンダーバード特急で、京都へ行く。先日も鞍馬画会という同窓のグループ展を見るために、木屋町のギャラリーを訪れた。十何年ぶりだという女性の同級生にあい、しばし歓談した。マチエールが美しいよい絵をかいている。小さなグループであるが、プロの画家を数多く輩出している。鞍馬画会は私の心の故郷である。

地上の楽園

5月29日
地上の楽園
世界を歩き、日本を歩いて4分の3世紀を過ぎた。地上の楽園を探す旅だ。ユートピア、シャングリラ、桃源郷といろいろ呼び名はある。ブータン王国もその一つ。
59才で起業し、会社を設立したのも、この地上の楽園を創りたい一心からである。社是に「喜びの種、幸せの種を蒔こう」を掲げた。ブータン王国の「GNH」を知ったのはその後であった。「国民総幸福」の追求を国是に掲げるブータン王国は、私にとって、理想の国に思えた。
ブータンの研究をしていく中で、その農業発展に生命を捧げた人がいた。西岡京治氏である。その夫人とお会いして、西岡京治氏の業績を語りつぎたいと切に思う。伝記をかくように、彼を知る人々に声をかけている。NHKが彼をとり上げるというので、期待して待っている。
「ブータンは、訪れる季節、訪れる場所によって全くの別世界を見せてくれる幸福の国ですよ」この言葉は西岡里子夫人に教えられた。ブータンミュージアムを訪れる人々に伝えている至言である。

京都観世会館

5月28日
京都観世会館
京都の岡崎に「京観世」と呼ばれる京都観世会館がある。ブータン王国訪問から帰国したばかりの私は、久しぶりに観能を楽しむこととした。第16回片山九郎右衛門後援会能である。福井から京都まで、1時間余りのJR湖西線の車窓から、新緑の豊かさを楽しむことが出来る。
今回は片山幽雪師の舞囃子、野宮と、片山九郎右衛門の能、実盛、そして片山清愛の能、吉野天人、野村萬斎の狂言、鐘の音である。幽雪師の野宮は晩秋の野宮の森の静寂さをあらわし、幽玄の舞が見られた。清愛の能は、初めて見る。父が私にしてくれたと同じ経験、道すじをつけてやりたいとの九郎右衛門の親心である。伝統文化の継承という意味で、「能」は「茶道」と共に、日本を代表するものである。私は30才を過ぎた頃に、岐阜青年会議所のメンバーに入会し、同時に岐阜ロータリークラブと岐阜青年会議所と合同で「みなもと会」という観世流の地謡会に入会した。その後片山幽雪師(当時は片山博太郎先生)のご指導を受けたが、海外出張が多く、不肖の弟子で終っている。現九郎右衛門のための後援会が結成された16年前から、入会させていただいて、観能を楽しむ側から片山御一家の精進を拝見している。芸の道の厳しさと共に、伝統文化の継承の厳しさを思い、自らの生き方を律している。

サッカーの経済効果

5月26日
サッカーの経済効果
サウルコスが福井で誕生し、サッカー人気が少しづつ盛り上ってきた。今年は昨年のJFL最優秀監督に選ばれた佐野達(とおる)氏をゼネラルマネージャー兼監督に迎えて、サウルコスは開幕以来無敗の快進撃をつづけている。NPO法人福井にJリーグチームをつくる会の梶本理事長から頼まれて、スタート時から微々たる力しかないが、協力をさせていただいてきた。理由は三つある。
彼が大学の後輩であること。そしてトヨタの県内ディーラーの代表者として古い新しいの差はあるが同志であること。
そして三つ目の理由は、今から30年余り前にヨーロッパで子会社を設立した時の相棒がスイスのサッカーチームの名選手だったこと。その時はサッカー選手と言わず「ソッカー、ソッカー」というのでよくわからず、確認したところ「サッカーだ、フットボールだ」とわかった。当時日本ではサッカーは知名度が低かった。1993年に10チームでJリーグがスタートして以来、日本のサッカーは徐々にランクを上げ、今ではヨーロッパ、アジアのチームでも日本人が名選手として大活躍している。
経済効果については最大のものが、放映権である。次に入場料収入、そしてブランド使用権等の副産物がある。福井にはテクノポートに、日本では20ケしかない2万人収容のサッカー専用のグランドがある。このホームスタジアムを常に満員にすることが出来れば、サウルコス福井が、福井経済界に大きな貢献をすることが出来よう。サッカーのビジネスが地域を活性化させ、次世代の子供達に大きな夢を与えることになる。サッカーのチームワークが明朗さ、元気、そして強い絆を生んでくれることを期待しているのは私だけではないはずだ。

世界を見よ

5月25日
世界を見よ
世界地図を見ると、数多くのことがわかる。五大陸があり、それぞれアジアとヨーロッパ、アフリカ、北中アメリカ、南アメリカ、オセアニアとわかれている。全人口の6割を占めるアジアは31.7億人が住んでいる。18世紀以来ヨーロッパ勢による簒奪がつづき、人口の割に発言力の弱い国々となってしまっている。国や地域の数は50と多い。もっとひどいのがアフリカである。国の数は53と最大であり、人口も12%とヨーロッパの13.7%に匹敵するにかかわらず、暗黒大陸といわれ、過去の殆どをヨーロッパ勢の侵略にさらされてきた。経済力の小さいこと、政権が不安定なこと、国の数が多いことから、中国の支配の可能性が増している。数による国連統治のシステムのあり方を考えると、アフリカへの投資は非常に有効であり、中国の外交力はあなどれないものがある。ヨーロッパの国の数は44と約23%を占めており発言力は強い。北中アメリカと組んで、この200年余り、世界を席捲したが今は斜陽の日を迎えようとしている。
私はいつも不思議に思うのは、国連の分担金をはじめ、世界のために拠出する日本のウェィトの高さである。例えば国連分担金を調べてみると1位アメリカ22%「2位日本約17%」3位ドイツ約9%、4位イギリス7%、5位フランス約6%、6位イタリー約5%と、日本が突出して多い。アメリカの22%は多そうに見えるがアメリカは気に入らないことがあるとすぐ延滞して支払わない。未だに多額の延滞金がある。一番問題なのは中国の僅か3%未満の分担金である。スペインやカナダより少い。そして拒否権といういわれのない不当な権利をふりかざしている。その中国への支援は未だに続いている。世界第2経済力だといっている国、どんどん軍事力を増強している国、そこへ日本は未だに毎年巨額の支援をしている。その支援額は、中国のアフリカ諸国への支援を上回るということである。
世界を見る目を、私達ももう一度とり戻して、為すべきことを為さねばならない。それが軍国主義への道であってはならないのは勿論である。目標とするべきものは、世界平和への道であり、支援するべき国は中国や韓国でなく、アフリカやアジアの国々であると私は信じている。21世紀はアジアの時代だとは世界の常識である。巨大人口と比較して国の数がアフリカより少ないというのは異常である。今後アジアの独立運動が激しくなると思われるが、その温床は中国とロシアであろう。

駅前立地

5月24日
駅前立地
郊外の物件の値下りがつづいている。売るに売れない物件が多い。郊外の団地を歩くとゴーストタウンに近いものも散見される。不動産を購入する場合に、一番注意しなければならないのは「立地」である。立地とは判り易くいうと、「駅前」とか「駅近」である。これは東京でも、京都、名古屋、大阪、福岡、福井でも同じである。郊外の団地や駅やショッピングセンターから遠い所に住む中高年の方々が、土地や住宅の選定を誤ったとよく相談に来られる。しかし遠隔地の土地や住宅を下取りして駅近のマンションを売ってくれる業者はいない。逆の場合なら、すぐ契約が出来るが、遠隔地の物件の売却は非常に難しい。住宅や土地の購入の時、一番に気をつける条件は「立地」であることを銘記すべきである。

足るを知れ

5月22日
足るを知れ
人の欲望は限りがない。食欲、性欲、金銭欲、名誉欲どれを取り上げても、欲しがれば、欲しがる程、満足は遠くに逃げていってしまう。例えば100万円ためたいと思って努力し、始末して100万円たまったとしよう。100万円で満足する人はまずいない。殆どの人は200万、300万欲しいと思うはずだ。そしてまた走り出す。欲望のとりこになっていくのだ。欲望のとりこにならない秘訣はたった一つ。「足るを知ること」あらゆる欲望は腹7分目に押えて、それで満足し達成を感謝する事で心の平安を得ることが出来る。身体の健康を保つ秘訣でもある。私は60才の時、一悟した。自分だけの欲望を満たすのでなく、周りの人々すべての人々の満足の為に働きたいと考えた。艱難辛苦の日々もあったが、心の休まらない日々は少かった。利他の心で動くと同時に「足るを知る」ことを最大の願いとしたからである。自分流に生きる。それを日々実行することで、心の平安を与えられたのである。

地価上昇

5月21日
地価上昇
デフレスパイラルから抜け出して、物価はここ半年大きく値上がりをはじめた。円も同じように突然の円安となった。USドルに対しても、ユーロに対しても同じように円安が進んだのだ。インフレが進むと物価が高くなる。物や不動産が大きく値上がりしだすことになる。大手不動産会社の株価が上昇に転じた。自己資本の数倍の借入金を持つ大手の株価が上がり出した。住友不動産の負債資本倍率は約4.5倍、東急不動産は3.7倍、東京建物2.5倍、野村不動産2.2倍、三井不動産や三菱地所でも2倍近い有利子負債がある。その対象は保有不動産である。これが値上がりしだすと見た投資家が株を買いすすんでいる。20年来ずっと下がりつづけてきた地価が、今年は上昇しそうである。株が上がり、地価が上がれば日本経済にエンジンがかかる。いよいよエンジン始動の時が来たようだ。

国際交流

5月19日
国際交流
先日見知らぬ夫妻から声をかけられた。例によってブータンミュージアムへ来館いただいた方々と会話していた時のことである。名刺交換をして驚いた。JICAの前職員で、退職したばかりだという。三国港の出身なので、福井へ帰ってきて、金沢市の北陸JICA事務所で3年間市民参加活動に従事する。お二人とも海外のJICA事務所勤務の経験が豊富で、JICA内の人脈にも精通されている。是非共私達のブータンミュージアムに協力していただきたいとお願いした。早速今年9月にブータンから来福するブータン政府の研修生を迎えるプログラムについて相談できると喜んだ次第である。名は十郎正義さんという。十郎という苗字は珍しい。三国港には数軒あるとのこと。三国はかつて北前船の港として殷賑を極めた。今なお外国航路の船乗りを数多く出している国際交流の模範のような町である。

ドナルド・キーンさん

5月18日
ドナルド・キーンさん
一昨年の3月11日の大震災、津波、そして原発事故は大変な被害をもたらした。しかしその反面、全世界から集ってきた義捐金やはげましの言葉、数多くの若者のボランティア、そして私にとって大きな感激を覚えたのが、国賓として来日されたブータン国王ご夫妻と日本帰化にふみ切ったドナルドキーンさんのお姿である。ブータンへの興味は以前から持っていたので、いちはやくブータンを訪問し、ブータンとの交流に私の残りの人生をかけようと決心をかためた。またドナルドキーンさんには是非おあいしたいと考えていた。今回福井へおいでになると聞き早速、講演を聞く為に家内共々申込をした。日本文化や日本文学に対する造詣が深く、彼のどの本を読んでも感心させられることが多かった。日本を愛するあまり「日本人になりたい」とまでいえる人物を、他に私は知らない。幸福についてじっくり話しあってみたい人物である。

遠来の客

5月17日
遠来の客
藤沢市に在住の元JICAシニアボランティアの若林誠さんの水彩画展を、ブータンミュージアムの2階で開催中である。NPO幸福の国の副理事長 奥村彰二さんの友人で、その縁で講演をお引き受けいただいた。テーマは「ブータンの文化と暮らし」である。2年間に亘り、ブータン西部のプナカ県の、自動車整備の学校で、整備の指導教員を勤められた。その経験と2年間のブータンでのスケッチ旅行の成果も発表していただいた。
ブータンに滞在しての生活でこそ味わえた話など、興味はつきず、あっという間の2時間半の講話となった。その後活発な質疑応答があった。夕食会はミュージアムの役員との親睦を深める会合となった。水彩画の絵ハガキセットの発行とHPでの紹介の了承をいただき、また新たな遠来の友人のブータンミュージアム活動への参加に一同大いに喜んだ。

新緑の足羽山

5月16日
新緑の足羽山
大型連休に遠くへドライブに出かける人が多い。私は福井市の中心部にある足羽山へのドライブを楽しんでいる。毎週2日は出かけていく。新緑の魅力は、桜の花にもましてすばらしい。色とりどりで、樹形も違い、逆光をあびると、言葉を失うほどに美しい。陽をあびてその下を歩くと、幸福になった心地がする。
いつも昼食をいただく茶店がある。友人が経営する「はれひより」と、古くから続いている大久保茶屋、そして愛宕坂の「離世」へ入ることが多い。それぞれのメニュが異なり、味も違うが、私達の気分次第で入る店を選んでいる。花よりダンゴとはいい古された言葉ではあるが、新緑も食事も大いに楽しめる有難いシーズンである。

立夏

5月14日
立夏
ゴールデンウィークに入ってブータンミュージアムの来館者の方々の服装が変ってきた。荷物を持った方、リユックを背負った方がふえてきた。観光旅行でこられた方が多いのだ。
自宅のマンションから見る山の風景も大きく変ってきた。山々の緑が一斉に芽ばえてはっとするような新緑になった。目の前の円山が一まわりふくらんで大きくなったように見える。立夏を迎えて今年もまた忙しくてなりそうだ。連日報道を賑わす株高、円安のニュースに私達の生活も幾分影響される。少しの持株の値上りに何か得をしたような気分になる。円安に泣いている人がいるのを忘れてはなるまい。

健康長寿の福井県

5月12日
健康長寿の福井県
男女とも長野県が日本一となった。平成22年の長寿番付である。長年1位を独占しつづけてきた沖縄県の女性が3位に転落した。注目してほしいのは男女平均1位が長野県、2位は福井県である。福井県は前回も上位であったが、前々回はやはり2位であった。福井県は健康長寿県としてのブランドを長野県と共に獲得しつつある。私は長野を訪れることが多かった。私の会社を立ち上げた時、全国をまわって各支店設立に自らたづさわったからだ。その地に住んで(時には滞在して)地域の調査を行い、全国綱を築いていった。長野県の特徴はそばとキノコにある。どちらかというと粗食に近い。福井県はそばと魚介類が多い。両県共、米、そば等の穀物の摂取量が多い。イトコの元東大教授が沖縄県と長野県の長寿のことで男性は高地に住む人が長寿で、女性はそうではないようだと教えてくれたことを思い出す。琉球大と信州大の共同研究の成果で、気圧が男性の寿命に影響を与える調査結果が出たとのことである。長寿には食物、運動量、ストレス等の影響を考える必要があるが、宗教心も大きなファクターだと思う。青森県が男女最低をづっと続けているのも気になるところである。福井県の人口減少は深刻であるが「健康長寿の里」「幸福の里」を全国にむけてPRしていけば人口増にもつながり、観光立県に貢献するものと確信している。

傾向線を信じるな

5月11日
傾向線を信じるな
マスコミの報道で多いのが「傾向線」の分析である。ところが傾向だけを議論するあまり肝心の実数を忘れていることが多い。例えば人口問題を考えてみよう。現在の日本の人口は約1億2千万人である。世界60位の国土面積の中に、世界10位の人口がある。そして1億2千万人という人口は、日本の歴史はじまって以来の巨大なものである。その人口が今後減りつづけると予想し、悲観する論調は少しおかしいと思う。人口が減りつづけて問題が大きくなれば対応策はいくらでもある。いたずらに人口減少社会を悲観する必要はない。私達は経済面でも史上最高の栄華を誇っている。GDPで中国に総トータルで抜かれたと騒いでいるのが、中国のGDPは世界一の巨大人口(日本の約10倍)で稼いでいる。1人当りでは日本の10分の1にすぎない。しかも外国の資金によって稼いでいる。国連、世銀、OECD、アジア開発銀行への出資、拠出金も、中国は非常に少ない。しかも日本やアジア開発銀行の支援を未だに受けつづけている。物事を表面の傾向線でとらえるのでなく、現実の姿で把握することが大切である。ちなみに日本人の個人の金融資産1500兆円や日本の対外資産は世界のトップクラスである。これを築き上げてくれた先輩諸氏の努力に感謝すると同時に、世界における日本人の果すべき責任の重さを痛感してもらいたいものである。

相続税

5月10日
相続税
インフレターゲット2%の達成が少しづつ確実視されつつある。その中で相続税の増税消費税の増税に対する話題が増えるだろうと考えた。福井県下唯一の信託銀行の財務コンサルタント伊藤昌之氏を招いた。そこで(社)福井経済クラブの4月定例懇談会に、相続税が、富裕層を対象にしていた時代から、平成27年1月1日より私達一般市民にも支払義務が生じそうになってきたからだ。
本年4月1日より「可愛いい孫の為の教育資金の贈与」が認められるようになった。1人当り上限1500万円づつ無税で贈与が可能とのこと。私の場合孫が5人いるので1人当り1500万円×5人=7500万円が無税で贈与できる。とてもそんな現金はないが、真剣に検討する人が多く、店頭は賑わいだしているとのことである。

6次産業化

5月9日
6次産業化
農業がGDPに占める割合がどんどん減少している。そこで打ち出された政策が株式会社に農業を開放する案と、1次産業である農業の6次産業化である。6次産業化とは1次産業の農業を、2次産業である工業のように工業化し、3次産業であるサービス産業のように、流通をも支配することをいう。1×2×3=6であり、1+2+3=6であることで6次産業化と表現している。この考え方は最近あらゆる分野で浸透しつつある。輸出産業の下請に甘んじていた中小企業が、下請の域を少しづつはみ出してきている。いわれるままに部品の一工程を分担していたメーカーから、前後の工程を取り込み完成部品メーカーに格上げになるものがふえた。そして特定メーカーの下請から、数社の元請メーカーとの取引が可能になっていくのである。
私は商社に在席していた頃、商社無用論が世を席捲したことがあつた。メーカーと消費者の間にある流通を荷負う商社はいらないというのである。メーカーは自社の中に商社機能をとりこんだ。消費者は多段階の流通業者にNo.をつきつけた。極端にいうとメーカー直販である。私は商社の生き残り策は、限りなく川上のメーカーに近付く川上作戦と、限りなく消費者に近付く川下作戦だとしてこの両面作戦を指揮した。商品毎、分野毎に二つの作戦に分類して大きな流通革命の嵐を乗り切ったのである。
今またその流れが、より広く各分野に求められるようになってきた。生き残り戦略にとって、欠くべからざる作戦である。農業をはじめ林業、水産業などの1次産業の高付加価値化はこの作戦を成功させることによって達成されるのだ。

岐阜市のKKコンティグ・アイ

5月2日
岐阜市のKKコンティグ・アイ
バイオエタノールの精製を発明したベンチャー企業がある。岐阜市の会社で1ℓ当りの精製コストが60円と同業者の半額だ。立教大学の山口義行教授は中小企業の可能性に注目している。その高い技術力と低コストの開発能力についてである。その山口教授がコンティグ・アイの技術力を高く買っている。私はグリーンエネルギーに早くから注目し、太陽光発電や太陽熱利用、風力発電等に興味を持ち、その事業化にとりくんできた。残念乍ら資金が枯渇し、道半ばにも到達できず、中途半端で終っている。コンティグ・アイでは芝や木材から、エタノールの精製を発明したとの報道を大分以前に聞き興味を持っていた。今回5月の連休中に鈴木社長とあうことになった。岐阜は私の青春時代の思い出の土地である。そこでまた、新しい事業の芽が、力強く萌芽しているのを見せてもらえるのは、何と有難いことかと、今からワクワクドキドキしている。