近江商人

平成19年10月31日
近江商人

 「三方よし」という商いの哲学がある。先輩が長い年月かかって築き上げた近江商人道である。長浜の名物に「小鮎の飴だき」がある。小鮎を甘味と醤油味でコトコトと煮る。かくし味は山椒である。葉山椒、実山椒、粉山椒といろいろ使い分ける。鮎は川魚の逸品である。しかし、近江では鮎は不思議に大鮎になれない。全国へ稚魚のうちに出荷されていく。栄養分の豊富な全国の河川や湖沼で大きく成長する。
鮎が近江で成長できず、他所へ出て大きく育つことを、近江商人にたとえて話される。全国へ、全世界へ雄飛するのが近江商人だと。小鮎が立派な大鮎に育つように、他国で頑張れと。

 交通手段は、100年前までは殆んど徒歩であった。後は馬か駕籠である。船便もあるが内陸には入り難い。江戸末期鹿児島から長崎まで徒歩6日、江戸までの参勤交替で40日を費やしている。加賀100万石や島津77万石を維持するのは大変なことであった。

 近江商人達も大変である。故郷近江を遠く離れて、彼等は旅商人から、徐々に土着化をしていった。地域に受け入れられていく為には、想像を絶する苦難があったことであろう。

 私は時間軸と空間軸を常に思考の基におく。あらゆる物事を、時間軸上で考えたり、空間軸上で考えたりする。物事の判断は、その際に、反対の結論を出すことがあるからだ。近江商人の時代、交通手段が未成熟な中での彼等の活動のエネルギーを考えると私は恥ずかしくなる。私の現状は何と恵まれていることか。瞬時に情報を受けたり、出したり、短時間で広範囲に活動することも出来る。交通手段、通信手段だけを考えても、私の置かれている立場は、ご先祖様とは比較にならない。有難いことである。

 近江商人のDNA、そして日本人のDNAを子孫にどうして伝えていけばよいのか。それに思案投首の毎日である。「喜びの種、幸せの種を蒔こう」を合言葉に、常に「三方よし」ならぬ「十方よし」を念頭に生きていくことを伝えていきたい。

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投稿者: jsb 日時: 2007年10月31日 09:00

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