次世代に残す

10月1日
次世代に残す
満70才を迎えた時、59才で創業した事業を、長男と次男に譲ることにした。その時私の胸に去来したのは、亡き祖父や父の姿であった。祖父から孫へ、親から子へと伝えてくれた血のつながりを次の世代へ渡せることの喜びと同時に、言葉にならぬ一抹の悲哀をも感じなかったといえばウソになる。今から5年前、その時の業続は絶好調、税引後の純利益も、目標の5億円に近付いていた。
翌年8月のサブプライムローン問題の予兆を感じ、早目のバトンタッチを決断したのだ。息子達の試練は続いた。サブプライムローンから更に1年後リーマンショックが襲い、円高とあいまって日本経済は残念乍ら沈滞してしまった。更に今はヨーロッパの全融危機が世界を暗くしている。
私は次世代に残すものは何が最も大切なのかをずっと考えつづけてきた。結論は金でなく、土地でなく、株券や証券でないことに気がついた。私が引継いだ財産は、三世代同居がもたらした信念であり、自信であり、自主自立の精神である。
「世の為、人の為」と口ぐせのように言われつづけた人間としての心の持ちようである。そして創業以来の私達の社是の第一は、「喜びの種、幸せの種を蒔こう」となった。ブータン王国の為政者たちが掲げている理想に非常に近いのを感じている。
幸福の追求が心の豊かさ、ゆとりを生み、世界平和につらなっていくことを信じている。地球環境の保全と諸民族融和をうながす「心の時代」を作り上げることを生涯の仕事と覚悟を決めている。

投稿者: jsb 日時: 2012年10月04日 10:14

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