原油価格の暴騰と暴落

平成21年1月26日
原油価格の暴騰と暴落

原油価格の状態は2003年の1バレル当りUS$29から毎年20%前後の上昇を続けていた。それが2007年、急激な投機資金の流入によるものか、暴騰を始めた。2008年早々に過去経験したことのない1バレル100$を突破し、年央147.5$の気狂いじみた価格をつけた。そして急激な需要の縮小をまねき、暴騰の後の暴落が始まった。2008年末には1バレル50$を割ってしまった。2005年の水準以下である。
更に日本においては円ドル相場を考慮しながら、この原油価格の暴騰と暴落を慎重に検証しなければならない。2007年のドル相場は123円であった。2008年は100円となった。20%の円高である。更に2009年早々には90円となった。更に10%の円高である。
ドルの信託が問題になっている昨今の現状を考え合わせると、円の強含みを否定するのは難しい。となると1バレル40$の石油相場の先行きとドルの先物相場を考慮すると、日本のガソリン価格は急落すると考えざるを得ない。末端表示価格は毎週低下し続けており、リッター当り100を割るところまで来た。
暴騰によって、自動車の稼働率が大きく落込み、更に新車、中古車の販売にも大打撃を与えてしまった。世界中の自動車産業に甚大な影響を及ぼしている。しかしその元凶である原油の暴騰は昨年央に終っているのである。そしてその後半年以上にわたって暴落し続けているのである。
「価格の上昇は徐々に起きるが、価格の下落は早い」というのが経済学の常識である。暴落は半年足らずの間に、3年分以上の上昇を奪ってしまった。2003年頃の1バレル$30程度になるのはそんなに先のことではない。
コインパーキング業界では車の稼働率の低下は売上、利益の低下に直結する。2007年から業績への影響が現れ始め、2008年はコインパーキングへメーカー、事業者共大きな影響を受けた。誕生から十数年、拡大の一途をたどってきた業界に、はじめて起きた試練である。しかし、よく考えてみると、その背景にある原油暴騰は、既に昨年央に終っている。逆に現在は暴落中である。円高を併せ考えてみると、業績回復の期待は大きい。
昨年末の状況は、その予想の通り、業績は底を打ち、反転した。下落を続けた車の稼働率が上昇に転じたのである。私はガソリン価格が100円を切ると、心理的な壁が崩れて、稼働率が上昇すると見ていたが、年末という特殊な原因も重なって反転した。
自動車の販売は毎年3月に大きなピークを迎える。今年は世界中の自動車メーカーが減産に入っているので、場合によっては、あちこちで新車不足が起きるかもしれない。
省エネ意識の浸透は予想以上に早く進んでいる。省エネカーへのニーズの変化はもっともっと大きくなるのは間違いない。不思議としかいえない乱脈な金融工学の膨張や、需要を大きく上回る自動車生産能力の増強は当然見直さざるを得ない。しかし実需はなくなる訳ではない。仮需が消え去るだけである。実需は必ず残る。世界恐慌を心配する空気が強い中、敢えて私は今年の先行きは、日本経済の先行きは、暗くないと愚考している。

投稿者: jsb 日時: 2009年01月26日 16:32

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