福井の宝「雄島」

平成21年3月13日
福井の宝「雄島」

世界三大奇岩「東尋坊」は有名であるが、そのすぐ近くにある「雄島」の価値を知る人は少ない。実は「雄島」は東尋坊とセットにして世界遺産になり得る貴重な島なのである。雄島は神の森である。島全体が鎮守の森である。三国の人々にとって雄島そのもの、雄島の森そのものが神であり、長く信仰を集めてきた。その為、人の手が入らない。自然がそのまま残った稀有の宝となったのである。
雄島は周囲約2キロ、広さ10ヘクタールの小さな島である。日本海に浮かぶ表土の少ない岩石の島であるが、かつては日本の海岸の到る所にあった筈の海辺の自然が見事に残っている。日本海の荒波が洗う岩場から、海浜植物、そして照葉樹へと植生の変るのが手にとるようにわかる。
まず島の入口近くにある大湊神社への参道の雄島橋をわたる。潮風が冷たい。左手にハナウドの群落、右手にハマゴウの群落がある。少し登ると島を一周する遊歩道に出る。左手には岩を覆うようにタブが多い。樹の周囲3メールを超える樹齢500年以上のタブの大木がある。大湊神社の前後に更にタブの大木(500年、300年以上といわれる)が多い。板根を持つタブもある。山椿の群生が美しい。更に進むとシロダモ、トベラ、椿の林が続く。左手にはカワラナデシコ、ハマボッス、ハマアザミ、ハマニガナ、ハマベノギク、カワラマツバの群生がある。運がいいと、美しい声で鳴く、青と栗色の鳥イソヒヨドリにあえる。右手に入ると雄島監視所と雄島燈台がある。目の前の低木はヒメアオキ、アオキ、ヤブコウジ、マサキ、サネカズラの樹林帯である。下草のキノクニスケは日本での東限と北限の自生地である。遊歩道の周遊コースに戻ると、岩場に、コオニユリの群生がある。ノハナショウブ、ヒオウギ、エゾニワトコ、ハマベノギクが混生。島の北部は強い北西風によって木が傾いて風衝樹林帯となる。落雷による強い磁場を持つ磁石石がある。道の両側にキツネノカミソリが生えており、樹齢200年のエノキとタモが立つ。左手にはノブドウ、エビツル。珍しいマルバグミもある。東側はトベラ、ヤブニッケイの純林がつづく。最後に左手に板根を持つタブの大木と右手からはスダジイの林が見送ってくれる。休憩しながら歩いても約1時間で全島を見ることが出来る。植生は温帯性常緑広葉樹林の極相林でタブ、スダジイといった照葉樹が繁っている。表土が浅いので幹は細い。僅か1時間の変化に富んだバイキングであるが、去り難い魅力を持つ島だ。

投稿者: jsb 日時: 2009年03月13日 10:06

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