越前三河川

平成21年3月23日
越前三河川

日本海の三国湊は北前船の主要な寄航地として長い繁栄の歴史を持っている。豪商の館が並び、神社仏閣も数多く残っている。越前平野を流れる三大河川の九頭竜川、日野川、足羽川はすべて三国湊の手前数キロメーターのところで合流し、川幅を広げて日本海へ注いでいる。それぞれ発するところは別々の山塊から流れ出している。九頭竜川は奥越から石川県境にかけて白山系の山脈から始まっている。足羽川は奥越から南東方向の岐阜県よりの峰々に源を発している。更に日野川は滋賀県境との山塊から流れ出している。三川とも多くの支流を持ち、清流を形づくっている。そこでは鮎やヤマメ・イワナ等の絶好の釣場となっており全国の釣り人の人気の的となっている。
私が住んでいる永平寺町の広報誌に「サクラマス釣り発祥の地」という小文が掲載されていたので紹介しよう。
1980年代の終り頃、日本のフライフィッシングの第一人者沢田賢一郎氏(東京在住)が日本で初めてフライフィッシングでサクラマスを釣ったのが永平寺町松岡志比堺の織物会館付近であった。今でもこの辺りは「ハタヤ前」という愛称で親しまれ、一級ポイントとして有名。フライフィッシングは鳥の羽などを釣り針にまきつけて作った小魚や虫のイミテーションを使い、釣り竿を巧みに操る釣り。欧米では伝統的なスポーツとして愛好されている。日本では渓流で小さい魚を狙う釣が主流であったが、沢田氏はサクラマスのような日本古来の大きな美しい魚を釣る釣りを確立したいと考え、何年も九頭竜川へ通った。そして60センチを超えるサクラマスを釣り、専門誌が大きく取り上げた。それ以来サクラマスを目指して次々と県外客が訪れるようになり、1990年に九頭竜川中部漁協は日本で初めて「サクラマス」と明記した「遊漁証」を発行した。そこには「フライとルアーに限る」という全国にさきがけた画期的なものとなった。
サクラマスは30回通って1回釣れるといわれる程難しい釣である。それだけに釣天狗の興味をそそるようである。サクラマスはヤマメの降海型である。早春、川の上流で卵からかえったヤマメの稚魚は群で生活し、エサ捕りが下手で大きくなれなかった負け組がその年の冬に海へ降り、栄養の豊かで60cm以上に成長し、再びふるさとの川へ回帰してくる。川に残った勝ち組は20cmほどにしか大きくなれない。10月頃産卵するが、サクラマスはメスが多く、ヤマメのオスとペアになることが多い。
1994年に発足した「サクラマス・アンリミッテッド」は釣人達が資金を出し合い、毎年春と秋に五松橋の下でサクラマスの稚魚の放流やゴミ拾いを行っている。放流総数約40万尾に達している。
サクラマス釣りは自然と対話する釣りといわれる。「九頭竜川は釣り以外の多くのことを教えてくれる」という釣人がいる。ここはお互いのコミュニケーションの場であり、情報交換や親交をあたためる場となっている。
こんな身近にすばらしい福井の宝があるのを知り、うれしい限りである。愛知県の安田さん、大阪府の西村さんお二人ともサクラマスを釣り上げて再放流(リリース)されたとのこと。正に大公望である。

投稿者: jsb 日時: 2009年03月23日 11:21

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