東京卒業

平成21年4月14日
東京卒業

面白い本がある。題名は「東京卒業」。編者は「山口県」著者は一般大衆。14年前に山口県が、朝日新聞に出したメッセージ広告に対する反響である。目的は「山口県のイメージアップとUターンの促進」であった。「東京に東京の良さがあるけれど、地方にも東京にない良さがある」「あなたにとって東京卒業とは?」との問いかけに対する熱い解答である。写真は山口県を代表する錦帯橋。そしてその広告の文章はすばらしい。ここに紹介しよう。

「東京卒業」・・・それは、東京が絶対だという価値観からの心の自由。
 単にUターンするだけでなく、意識の上で、
ふるさとの良さを見出してほしいとの呼びかけです。
一極集中のツケでしょうか。東京には人が根を張る土がない。
刺激はあるけど、うるおいがない。仕事はあるけど、ゆとりがない。
ストレスはあるけど、自分がない・・・。
「何でもある」は「何にもない」になりかねない。
ふるさとには、ふるさとの良さが何かあるはず。
自然とか、時間とか、広い家とか、肉親とか・・・だけじゃない何かが。
大都会のラッシュに揉まれているあなた。
大いなる田舎で都会を夢見ているあなた。
あなたにとって、「東京卒業」とは何でしょう。  ――――  山口県
                       
この広告に対する反響の中で、私を把えた人の言葉を伝えたい。
45歳の千葉在住山口出身者「インパクトのある広告ですね。山口出身の者としては東京に居住するすべての者の胸につきささる」。
45歳の長野県在住神奈川出身者「東京のザワザワ、ゴミゴミ、チマチマ、イライラ、ヘトヘトの生活を卒業したのは、長野県へUターンする夫を選んだ時でした」。
26歳神奈川在住出身者「自分たち若い人たちが、東京よりもっとすごい町並を作る楽しみが田舎にはあるようで、「東京卒業」賛成」。
山根基世NHKチーフアナ東京在住山口出身者「ふるさとは都会を漂流している者の灯台。いつかあの灯りの元に帰るのだと、心の拠り所にしているのです」。
古川薫、直木賞作家下関在住者「日本を離れてみれば東京も下関と並ぶ一都市。地方はまだ未完成の状態。広野の開拓に青春の血を燃やす」。
とても面白い企画である。Iターン、Uターンを真剣に考えている私達福井県民にとって、福井県の人口82万人の少いことを気にしている私達にとって、参考になる魅力的な企画である。「胸につきささる」程のインパクトのあるメッセージを多くの人々に伝えたい。福井での生活の魅力を、福井の自然の豊かさを、福井の美しさを、福井のおいしさを、福井の人々の温かさを伝えたいと真剣に思わせる一冊の本である。山口県が出版しているのがこれまた面白い。

投稿者: jsb 日時: 2009年04月14日 18:02

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