都市鉱山を掘り起こせ

平成21年4月15日
都市鉱山を掘り起こせ
日本のことを「黄金の国ジパング」といったのは、マルコポーロや宣教師たちであった。金箔や銀箔を利用する技術や、蒔絵や沈金・截金などの技法が発達し、金銀が豊富にあるように錯覚したことにも原因がある。それ以上に火山国であるので、噴火の際に地上に出てきたマグマが、急速に冷却し、各地で露出していることもあったと思われる。更に日本は当時から、人口も増え続け、都市が形成され、富の蓄積が進んでいたのである。
アメリカの博物館を訪れると、地下資源の世界中の分布が詳細に説明されている。日本の博物館では決して見ることがない。そこではアメリカがいかに多くの資源を有する国かを強調している。アメリカがいかに価値のある国であるかを知らせているようだ。
今世界中が資源の確保に血まなこになり出した。特にレアメタルと呼ばれる希少金属は、地球に存在する量が少ないとか、資源として利用しにくいとか、特定の国や地域に偏在しているとか問題が多い。例えばステンレス鋼を作るクロム、車の排気ガスの触媒に使うタングステン、強力な磁石に使うネオジム、電子部品に使うタンタル、金、銀その他スズ、アンチモン、インジウムなどがある。
つくばの「物質・材料研究機構」では、国内の家電製品や車から回収できる金属量(都市鉱山と呼ぶ)を試算し、発表している。そしてほとんどの金属は、地下に埋蔵されている量よりも、採掘して地上にある量の方が多いという。これは重大な指摘である。製品からこれ等のレアメタルを回収し必ずリサイクルして再利用しなければならないことを意味するのだ。リサイクル事業が最重要産業になることは間違いない事実なのである。
「物材研機構」の発表によれば、日本の都市鉱山の規模は、薄型テレビに必須のインジウムは世界全体の埋蔵量の61%、銀は22%、アンチモンは18%、金は16%、スズは11%、タンタルは10%に達する。まさに世界一の巨大都市鉱山なのである。
この他に、日本は資源のない国という自覚と、その保守性から、備蓄に励んでおり、製品化する前の材料の備えも多い。石油は、ほぼ1年分の在庫がある。こんな国は産油国も含めて、世界中に存在しない。

投稿者: jsb 日時: 2009年04月15日 14:36

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