価値の転換

平成21年4月24
価値の転換

先日「キラリ会」の月例会で、スピーカーのデザイナー松山道明さんから「価値の転換」について、約1時間にわたって話を聞く機会があった。松山さんは福井県のデザイン界の草分け的存在で、種々のデザインを通して、地元業界や地場産業を指導され、松山さんの育てたデザイナーも多い。「キラリ会」の卓話の中でも、トップクラスのお堅い話に、列席のメンバーも謹聴の1時間であった。
私は人生は「価値の追求」であると考えている。数学的にも経営学的にも「付加価値の増大」を求めることであると考える。「喜びの種、幸せの種を蒔こう」と呼びかけ、自らも実践しようとしているのは、この付加価値の追求にほかならない。
松山さんは、情報化時代のデザインの役割は、「価値の転換」であるという。そして「価値の転換」は「新しいエチカ(倫理)の創生」であるという。「新しいエチカの創出」とは、新しい価値観の問題であり、デザインの哲学的な課題であるという。
松山さんは、昭和4年(1929年)生まれの80歳である。若い頃に福井空襲の火の海、福井震災の地獄、そしてその後の戦後の混乱の中から、デザイナーを目指して、東京の青山へ出かけていき、デザイナーの修業をされた。「価値の転換」は当時日常茶飯事であったであろう。日華化学工業、三谷商事、セーレン等地元有力企業の仕事、めがねの仕事、などを通して、デザイナーの地位向上に多大な貢献をされた。
デザインの価値は、驚くほど大きい。「ブランド」の価値がよく問題になるが、その元となるのは「デザインの力」である。「ブランド」は「デザイン」の結果と考えた方がよい。ものづくり産地・福井を発展させるのは「デザイン力」以外は考え難い。「デザイン」は知恵の塊である。「エチカルデザイン」を追求していくことで価値の転換が促進され、価格競争と脱却することが可能になる。福井における「新しいエチカルデザイン」の創生を高らかに歌いたいものである。福井県は人口割では「ものづくり大国」である。繊維、めがね、和紙、電子機器などの生産は人口割ではダントツの日本一である。そしてこれ等の産業は「デザイン力」によって質的転換をはかることが可能である。松山さんの「夢の仕事」を継ぐ若人の出現を待っている。

投稿者: jsb 日時: 2009年04月24日 09:13

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