21世紀はストック経済

平成21年8月20日
21世紀はストック経済

日本の人口は21世紀初頭にピークを過ぎた。1.28億人であった。今その人口が減り始め、出生率と死亡率が逆転した。20歳未満の人口18%に対し、65歳以上の高齢者人口22%、その内75歳以上の人口は10%である。
敗戦後日本は高度経済成長路線をひた走り、毎日の生活が、将来の夢を追いかけるものとなっていた。現在の豊かな生活よりも、将来の成長に期待する社会を形成してきたのである。その為、道路も住宅も、衣類も家具もあらゆるものがフロー型の消費になってしまっていた。
ところが21世紀に入り、気がつけば日本人は世界のトップレベルの資産国になっている。そして人口ピラミッドはイギリスよりも子供の少ない特殊な老人社会を示すものになっている。生産よりも蓄積が大きい社会が到来したのである。65歳以上の老人22%の内、75歳以上の老人10%は純粋消費者である。資産のリターンで生活する人が増え、生産する層が減っていく社会が出来つつある。純粋消費者が人口の10%を超えたが、この層の人々の消費動向によって日本経済は大きな転換を余儀なくされることとなる。
その新しい社会イメージは「ストック経済」である。自ら築き上げた資産、或いは先祖代々からの資産のリターンを、どのように活用していくのか。それが今問われようとしている。
社会資本の充実も、今迄のように、短視眼的なフロー経済の考えでは通用しないであろう。「二百年住宅構想」に代表される意識革命が必要となる。また今迄はあまり問題されなかった日本の「インフラコストの高さ」に対する批判が大きくなってくる。日本の「インフラコスト」は世界一である。異常である。今回その対策の嚆矢として、「高速道路千円乗り放題」が実施された。麻生首相の歴史に残る英断である。この政策は誰も止められない。2年間の時限立法であるが、民主党も逆にこの政策の存続を支持し、無料にまで値引きすると言っている。これで日本のインフラコスト切り下げが確実に進むのは、間違いないこととなった。次は高速千円が、JR、私鉄等に与える影響である。ホリディチャージは今後益々低く設定されることと思われる。そうなると日本人の余暇に対する考え方に大きな変化を与えそうである。新しい「ホリディーライフ」の誕生の予感がする。欧米型になるか、日本独自のものになるかは別として、「ごろ寝」では済まされない新しい生活が生まれることは間違いない。
ストック経済は生産よりも投資が重要視される社会である。国内はもとより海外への投資も積極的に行われるであろう。2008年の貿易収支黒字よりも資本収支の黒字が上回ったことは、ストック経済への移行はすでに始まっているのである。この傾向は今後もどんどん進むであろう。そこにビジネスチャンスがある。個人資産1,500兆円をめぐる争奪戦はもう始まっているのである。

投稿者: jsb 日時: 2009年08月20日 09:48

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