新しいマーケットの誕生

平成21年9月10日
新しいマーケットの誕生

少子高齢化社会が議論されて久しい。人口減を心配する声、少子化を憂う声、老人が増えることによる年金を心配する声などみな一理ある。私は逆に心配はしていない。なぜなら物事には表裏が一体となって存在していることを信じているからである。国民生活白書の推定によるとかつての標準世帯の「夫婦と子供の世帯」と「単独世帯」が2010年頃に等しくなり、2030年には標準世帯は一人者の単独世帯になるとの見通しである。単独世帯は2010年の29%から2020年には30%、2030年には37%に急上昇していくとのこと。この理由は、晩婚化・未婚化・高齢化が原因である。夫婦と子供の現在の標準世帯は2010年の29%から2020年27%、2030年22%と激減するというのである。この家族構成の激変ぶりに気付かなければならない。世帯数の変化にも注意が必要である。敗戦以来増え続けてきた世帯数は、2010年頃の4970万世帯をピークとして、天井を打ち、徐々に減少に転じていく傾向にある。これは人口減を伴いつつ、家族構成の単独化への反省機運が出てくるとも考えられる。
新しいマーケットの誕生に対応しなければならない。単独世帯が最も多くなるのである。そこに膨大な新しいマーケットが生まれつつある。新しい商品、新しいサービスが求められている。かつての大家族主義から、最近の夫婦と子供二人の家族、そしてこれから「おひとり様」の社会へと移るなかで、どんな商品やサービスが求められるのであろうか。
単独世帯は「少量」の商品を求めざるを得ない。小パックの食品や飲料が売れている。家族間の会話による「生活の知恵」が手に入れにくくなっているので、通販やネットによる購入が増えてくる。テレビショッピングも年々成長を続けている。健康への不安から「健康食品」が売れている。「おひとり様」の相手は「ペット」となり、ペットフードの売場面積がどんどん広がっている。
中食市場はこれから最大のビジネスチャンスを生む分野である。それだけ競争は激しくなることと思われるが、可能性は最大である。「中食」とは、外食でなく、調理した弁当、おにぎり、サンドイッチなどを購入して職場や自宅で食べることをいう。コンビニの売上の7割がこの中食食品である。
日本酒の市場は、業界の努力にもかかわらず縮小傾向にある。もう一工夫が必要であるが、1升瓶(1.8ℓ入)から4合ビン(720入)への転換が進みつつある。更に1合ビン(180ml入)への転換が起こり、缶ビールと同じように6本入カートンや2ダース入カートン等が出現するであろう。アルコール度数の低減や香りと刺激を押え気味の日本酒が求められるようになるであろう。
「おひとりさま市場」は「ワガママ市場」である。しかしマーケットの大きさは抜群である。ニーズをしっかり汲み取って最適な商品、最適なサービスを提供していけば、新市場開拓の覇者となれるのである。若者たちの挑戦する絶好のチャンスである。

投稿者: jsb 日時: 2009年09月10日 09:10

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