地方にとってのインフラ整備

平成21年9月11日
地方にとってのインフラ整備

福井県の奥越地方といわれるところがある。福井県選出の偉大な政治家故福田一の生まれ育ったところである。かつてはそこは大野郡といわれた。県境に近いというよりも、県にまたがった広大な山域が大野郡であった。かつての大野藩の領域である。豪雪地帯であるので、道路は正しく「命の道」である。豪雪や水害、山崩れがおきると完全な孤立状態になるので、インフラ整備が最大の関心事となる。石徹白川の流域の石徹白町は、昭和に入ってから福井県を離脱し、岐阜県に移っていった。その理由は、緊急時に、岐阜県白鳥町からの救援の方が、本来は来るべきはずの福井県大野市よりの支援よりも、遥かに早くきてくれるからであった。
 福田一は生まれ故郷にダムを作り、鉄道をひいた。そのJR越美北線と、岐阜県側の越美南線は未だに結ばれていない。生前に北陸新幹線の完成について種々と意見を聞いたことがある。「十年経っても新幹線は開通せん」と明言されて、落胆したのを思い出す。あれから既に20年が経過した。故田中角栄は、「鉄道が越前福井を通ったのは明治時代、私の故郷、越後の長岡は大正に入ってからだった。しかし新幹線だけは負けなかった」と福田一に話したという。東京から新幹線で新潟まで僅か2時間である。福井までは3時間半、小浜までは敦賀まわりで4時間を超える。
大野市長は、中部縦貫道の早期完成を求めて、「この道は、命の道である」と発言した。広大な市域を有する大野市にとって、この道こそ、中心部を東から西へ貫通する大動脈のはずである。大野市長の言葉を聞いて、私はあらためて日本地図を開いてみた。福井市から大野市を経て、信州松本市へ、日本列島を縦貫する新しい道路である。地方に住む人々にとって、父祖千年の願いが、鉄道であり、道路である。「命の道」である。
公共工事の削減を主張する民主党が政権をとった。しかし「公共工事はムダではない」「公共工事こそ政治そのものである」ことを忘れないでほしい。更に「ムダな公共工事はないか」「公共工事の中身にムダがないか」を見極める見識を失わないでほしい。「命の道」の一日も早い完成を願っている。

投稿者: jsb 日時: 2009年09月11日 09:52

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