松尾芭蕉サミット

平成21年9月18日
松尾芭蕉サミット

敦賀短期大学は最近まで瀬戸内寂聴さんが学長を務めていた。その大学から例年の如く福井経済同友会を通して、企業の最前線から学生向の講演と依頼され、お引受けをした。敦賀は私にとって特別なところである。琵琶湖岸に育った私にとって「ウミへ行く」というのは琵琶湖へ行くことである。敦賀の松原海岸や美浜へ行くことを「塩海へ行く」と言っていた。塩海の水は塩からく、浮力が強いので潜るのに苦労したものである。
敦賀には私の生涯の中で大きな影響を受けることになった敦賀セメントがあった。1企業1工場(原石山は岐阜にもあったが・・・)ではあるが、幸いなことに海岸工場なので、内陸工場が廃工場化した中にあって、立派に生き残っている。その敦賀セメントのセメントを売る仕事が、大学を出て最初の仕事になった。そしてその後も関係が続いている。いまだに福井市にある敦賀セメント本社の建物の一部を借りており、関係は深い。
その敦賀市で松尾芭蕉の「奥の細道」敦賀サミットが10月3日、4日に開催される。1689年に芭蕉が旅をして以来300年経ったのをきっかけにして関係する公共団体等が、地域活性化をはかろうと始めたのがこのサミットである。
「奥の細道」には記載されている福井県内の句が5句、その内4句が敦賀で詠まれている。芭蕉は敦賀の色ヶ浜、本隆寺で句会を催しており、12句を作っている。また「奥の細道」には記載されていないが、山中温泉で曾良と別れた芭蕉が、仲秋の名月を賞んと、福井から敦賀を目指した「月の句」が14句ある。「奥の細道」の旅の主目的がこの色ヶ浜の観月会だとの見方もある程、敦賀での句作が多い。「敦賀と芭蕉」、この対比こそ、地域の文化振興、観光開発にとって、貴重なテーマとなる。サミットに併せて開かれる全国俳句大会も楽しみである。思えば福井県は俳句や和歌、詩とのかかわりが深い。源氏物語の紫式部をはじめ数多くの歌人、詩人、俳人達が福井県を訪れている。そして名歌、名句、秀逸な詩を残していっている。気がついてみれば福井は文化の香り高いところなのである。

投稿者: jsb 日時: 2009年09月18日 09:21

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