アニメ、マンガ、キャラクター商品について

平成21年9月29日
アニメ、マンガ、キャラクター商品について

明治維新からの約140年間、私達日本人は、西洋文化の輸入に忙しかった。逆に日本文化が輸出されることには、あまり興味を持たなかった。徳川幕府が1867年に、パリで開かれた万博に、日本よりはじめて出展をした。それは日本の伝統工芸品ともいうべき陶器、漆器、浮世絵、甲冑などであった。印象派の画家達に大きな影響を与え、アールヌーボーのジャポニズムと注目された。
明治に入り、西洋から来日したお雇い技術者達は、日本の美術や伝統工芸、建築、庭園などの独特の優れたものに注目し、これを正当に評価し、多くの優品を故国に持ち帰っていった。それ等が現在も、世界中の美術館、博物館に収蔵されている。
明治、大正、昭和は西洋に追いつけ、追いこせの時代となった。その後、昭和20年までは軍国主義が幅をきかせた。言論も表現も厳しい統制下に置かれて見るべきものがない。
敗戦と同時に息を吹き返した芸術家や文化人は、表現の自由を徐々に取り戻していった。私の学生時代はマンガブームに始まり、劇画へと移っていった。テレビにマンガが登場し、新聞もマンガを掲載し、「サザエさん」は一世を風靡した。「鉄腕アトム」「宇宙戦艦ヤマト」「銀河鉄道」「ゲゲゲの鬼太郎」など次々とマンガの流行作家が生まれていった。トヨタ自動車のイベントにまでマンガ家が動員される時代を迎えたのである。
アメリカのディズニーワールドをしのぐ「マンガ王国」が日本に誕生したのである。そしてマンガは日本の電化製品やカメラなどと一緒に世界中に輸出されていった。キャラクター商品も成長産業の一画を占め、成長を続けたのである。
ただ心配なのは最近のマンガ、アニメなどが戦いや暴力を表に出したものが増えてきている点である。私達の日本は戦争を放棄し、暴力を否定したはずである。それがマンガやアニメ、映像の世界で幅をきかせていることに私は憤りを禁じえない。
マンガもアニメもキャラクター商品も、平和や人間愛、環境や自然をテーマに作り上げていってほしいものである。未知のものを描くこと、十年先、百年先のものを描くことそれがマンガやアニメの世界であるならば、人々にもう少し夢と希望を与えてくれるものにしてほしい。
1999年1月にニューヨークで、「アニメとマンガのシンポジウム」が開催され、マンガやアニメに対する見方に大きな変化が起きてきた。日本のマンガやアニメに対する、世界中からの興味が沸き上ってきたのである。研究者やマンガ作家(MANGAは日本のコミックをさす言葉となっている)達が日本をめざすようになってきたのである。
国際交流基金の支援を得て、パリで「現代日本短編マンガ展」が開催された。その時短編マンガのコピーが数多く、持ちこまれたという。見せるためのものである。手にとって見ることにより、理解を深めようという狙いであった。マンガを読む体験をさせたことが成功につながったという。
今やマンガ、アニメ、ゲームなどは日本文化の象徴である。マンガ作家は芥川賞や直木賞作家と遜色のない立派な文化人であることを忘れてはならない。
私はある構想を、マンガで表現できないだろうかとマンガ作家と打合せを始めたところである。出来るかどうか確信はないが、やってみる価値はあると思っている。

投稿者: jsb 日時: 2009年09月29日 09:28

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