もんじゅ

平成22年4月7日
もんじゅ

日本原子力研究開発機構は、文殊菩薩の「もんじゅ」をとって原子力発電所の名前にした。高速増殖炉の試験段階の「原型炉」である。1991年に完成した。「原型炉」に続いて、2025年に「実証炉」を完成、更に、2050年までに「商用炉」を運転開始するというのが日本の原子力政策の基本方針である。しかし「もんじゅ」は、1995年12月に冷却材のナトリウム漏れ事故で試運転が中止された。そして未だ稼動していない。今年はいよいよ再稼動の年となりそうであるが、学者達の反対意見もある。
 三人寄れば文殊の知恵といわれ、文殊菩薩は知恵を司る仏である。原発はウランを燃料としているが、ウラン資源は100年程度で枯渇するといわれている。その為、燃料の一部を再利用するのに再処理工場へ送り、もう一度使用しようとしているのが「プルサーマル」と呼ばれる方法である。「もんじゅ」はこの「プルサーマル」と違って、運転中に燃料を増産し、これを再処理し、再利用しようというものである。
高速増殖炉は米、仏、ロなどが先行してきたが、仏の世界初の実証炉「スーパーフェニックス」は1998年に閉鎖した。今稼動しているのはロシアの1基だけ。研究開発中のものは、日米仏の共同開発と、中国やインドが独自に開発中である。
世界一の大富豪となったビルゲイツは、今回東芝と提携し、次世代の原発の開発をはじめると公表した。狙っているところは、世界中で開発しているものよりも更に一歩進んだ「百年間発電しつづける原発」である。これが完成すれば、地球温暖化問題や、エネルギー枯渇の問題が解決でき、人類の未来に光が差し込んでくる。成功を祈りたい。
日本の原子力発電は1970年に敦賀市の敦賀1号機から始まった。現在は53基が運転中であり、日本全体の発電の中に占める割合は約25%に達している。福井県では、一番古い敦賀1号機を、更に運転を続けることで、合意ができた。中部電力では、次いで古い原発の廃炉を決定した。大型の新炉を同じ敷地で建設する方が有利という判断である。
人間の知恵は測り知れない程の可能性がある。その知恵を文殊菩薩の知恵にまで高めて、新式発電システムを作ることは十分意義のあることであり、大いに期待したい。ただ放射性廃棄物の処理の研究も同時に行っていく必要がある。ここにも「もんじゅ」の知恵を生かしてほしいものである。原発と共に生きている福井県民にとって、原発が単なる発電の一種というだけでなく、原子力の高度な活用方法の研究開発の拠点に成長していくことを願っている。世界に一つといわれるほどの研究開発拠点を築き上げていきたいものである。

投稿者: jsb 日時: 2010年04月07日 18:06

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://119.245.185.34/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/1903

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)