自動車はどこへ行く

平成22年4月23日
自動車はどこへ行く

日本の総エネルギーの消費の20%以上が、自動車用に使われている。人間用が14%、貨物用が7%である。エンジンの中でガソリンや軽油を燃やし出力を得ているが、そのエネルギー効率が悪い。ガソリン用で15%程度、ディーゼル車で17%程度である。このシステムとエネルギー効率は産業革命以来あまり改善されていない。このエンジンを電気自動車のモーターなどのより効率のよいものに変えるだけで省エネ効果は大きくなる。効率を30%とすればエネルギー消費は半分になる。60%とすれば4分の1になる。90%にまで上げればガソリン消費は6分の1でよい。
電気自動車のエネルギー効率はかなり高い。電気自動車はバッテリーからモーターそして車輪へ至るエネルギー効率は90%近くに達する。またバッテリーの充電、放電ロスを加味したり、電気を作る大型発電所での発電効率は35〜40%であるので、トータルでは30%と考えた方がよい。即ちガソリン車の倍のエネルギー効率である。
ハイブリッドカーのリッター当り走行距離は、トヨタのプリウスの例を見てもどんどんよくなってきている。現在でも通常のガソリン車の倍以上であり、エネ効率に換算すると電気自動車に十分匹敵するところまで来ている。走行距離や充電時間を考えると長距離利用にはハイブリッドカーが有利である。
燃料電池車がトヨタとホンダで製作され、日本政府をはじめ各国へリースされたのが2002年12月であった。この車は水素と酸素による電気化学反応を利用して発電する技術を利用している。この技術は1839年イギリスのグローブ卿が発見し、1960年代にアメリカの人口衛星で使われていた。エネ効率は40〜50%に達する。水の電気分解と全く逆の現象を利用して発電すると考えればわかり易い。1980年代末にカナダのバラード・パワーシステム社が開発し、現在この方法が世界各地で研究されている。バッテリーからモーターそして車輪へ至る効率90%を加味しても35〜45%のエネ効率となり、高い効率が獲得できる。
以上のように、ガソリン、軽油で走る現状の車と、電気自動車、ハイブリッドカーそして燃料電池車のエネ効率を比較したが、製造コストの面から考えると、ハイブリッドカーと電気自動車が有利である。特に電気自動車の電気が、原子力発電の夜間電力を使用できるシステムの採用が可能であるので、最有力のエネ効率と相対的低コストが両立できそうである。今、世界で電気自動車の開発と、高性能バッテリーの開発が昼夜を分かたず行われているのはそれが原因である。ハイブリッドカー全盛時代の後に来るのは、電気自動車時代であるのは間違いない。


投稿者: jsb 日時: 2010年04月23日 17:58

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