どこまで下落する地価

平成22年8月20日
どこまで下落する地価

国交省の地価公示を参考に地価動向を調べてみると、1997年を100とすると全国商業地は2010年で50となっている。13年でちょうど半分になってしまった。全国住宅地は64である。その間のGDPデフレーターは88である。地価の下落が説明できない程起きている。
その原因を人口問題におく意見がある。しかし日本の人口は過去何千年の歴史を通していままだピークにある。人口減少がこの先起きるから地価の異常な下落が続いているという意見の根拠は弱い。
真の地価下落の原因はグローバル化にある。大企業を中心に、ここ十数年の間、私達は生産拠点を海外に求めたのである。当然日本の工場は廃棄され、雇用は失われ、土地は売りに出された。売り手100人買い手なしである。
そこへリーマンショック以来の信用不安の影響で、新規投資に対する経営者の意欲は減退し、金融機関は不良債権化をおそれて不動産投資への融資をカットした。バブル崩壊時の総量規制ほどではなかったものの、多くの不動産企業、建設企業が倒産の憂き目にあったのである。
さて今後の地価の動向はどうなるのだろう。1991年までは土地神話が生きていた。土地はあらゆる変化に最も強い財産だという評価どおりのパフォーマンスを続けていた。ところが、バブル崩壊で、それがもろくも崩れた。そして更にピークの1991比1997年で半分になり、それが2010年で更に半分になってしまった。全国商業地はピーク時の4分の1の価格なのである。
地価は長い目で見ると循環する。しかしグローバル化時代の循環は右肩下りのものであることを忘れてはならない。これからは買い場が来ることは間違いないが、上昇の幅、期間はそれ程大きくはない。そこに注意して投資態度を決めなければならない。収益還元法というすばらしいものさしを私達は手に入れた。このものさしを手に慎重な態度で臨みたいものである。
 

  


投稿者: jsb 日時: 2010年08月20日 09:52

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