酒器

平成22年8月23日
酒器

日本の料理と世界の料理を比較してみると、その料理を盛る器の違いの大きさに驚くのは私だけであろうか。西洋ではどの国も同じように磁器一色である。そして図柄も同じである。飲み物用のガラスの器や銀食器が使われることがあるがそれとても同様のデザインのものが使われる。中華料理も大同小異で殆ど西洋風とかわらない。
ところが日本の食器の多種多様、多色多彩さはどうしたことであろうか。すべての器が意識的に変えて使われている。陶器、磁器、漆器、ガラス、竹製品、木製品と素材を変え、デザインを変え、大小のサイズを変え、色を変えて供されてくる。そしてそれ等の用途や配置には一種の暗黙の決めごとがある。何という繊細さ、何という奥ゆかしさであろうか。すべての物事をとことん追求して止まざる日本人の本能的な執着心を感じさせる。これは超一流の料理店だけでのことではない。私達の日常の生活の中で、普段着の生活の中で毎日体験することである。この日本人の感性のすごさは一体どこから来たのであろうか。
酒の器についても全く同様のことが言える。ワインもウィスキーもウォッカもジンもテキーラもブランデーも大差ない。数種類の形の違うグラスだけである。日本酒の場合を思い起こしてみてほしい。どれ程豪華絢爛たる酒器が揃っていることか。お正月や結婚式のお屠蘇の道具は漆器である。とっくりや盃は磁器が多い。最近は陶器もどんどん増えてきている。ぐい呑は陶器が主だ。ガラスも使われている。それぞれのコラボした作品もある。
福井県の金津創作の森主催で、毎年酒器展が開かれている。全国から思い思いの酒器(とっくりと盃のセット)が集まってくる。この1千人近くの応募者の中から、優秀作品が選ばれる。素材も、形も、色も、デザインもありとあらゆる可能性を求めてユニークである。すべての応募作を表彰してあげたいほどにユニークである。その感性のすばらしさに毎年驚いている。このすばらしい展覧会を継続し、日本の酒文化の高揚をはかる為のよい方法はないのであろうか。あわら市長、福井県そして福井県下の酒の愛好家達に是非協力を求めたい。
日本料理やすしがどんどん世界へ出ていっている。日本酒もそれに続かなければなるまい。その為の大切なデザインを生む日本唯一の公募展であるこの灯を消してはならない。その声が大きくなり、更に発展していくことを祈っている。

投稿者: jsb 日時: 2010年08月23日 09:49

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