円高の再現

平成22年8月26日
円高の再現

いわれなき円高がすすんでいる。ドルやユーロ、元の先行きに対しての不安から、円を買う動きが出てきたのだ。日本経済の強さの現れでは決してない。消去法による円買いである。
USAと日本は、株安、雇用不安は全く同じであり、経営者は慎重になり、先行投資を控えている。消費者は雇用不安の中消費を控えている。企業は新規の雇用を控えている。そしてUSAの金利が引き下げられ、日米の金利の差がなくなり、円の逃避が始まった。このままでは1994年の1$=80円の円高の再現を予想する人すら出てきた。USAの貿易赤字の拡大がその引き金になるかもしれない。
ヨーロッパの情勢も深刻だ。1ユーロは110円を割ってしまった。100円に近付く勢いである。ギリシア不安が金融機関の体力を奪い、ユーロの信用を著しく傷つけている。ドルがダメならユーロといわれたのがウソのように、ユーロも円高に対してなすべきを知らない。
世界でも徐々に力をつけてきた中国の元は近々中の切上げが予想されるので、その上昇の幅が心配である。元は世界の資本の逃避先になるには、まだ時間がかかる。
その結果が日本円への逃避であり、いわれなき円高である。世界のすべての通貨に対して、全面高である。これは各国が自国の通貨の切下げを容認している為におきているという側面もある。「円高は困る」という国は日本以外には考えられない。とすれば円高の対策は日本の単独介入の道しか残されていない。その効果は当然限られたものとなる。
輸出産業にとって円高は大変であるが、国全体で見ると円高は悪くはない。ドルやユーロ換算の経済指標は、すべて上昇するのである。輸入産業は円高のメリットを享受している。世界中へ投資した資本の評価は下げることが可能になり、そこから受ける収益は下るものの、全部日本へ持ち帰る必要はない。現地で急激な円高が収まる時を待てばよい。円高のメリットを追求しつつ、その対策を考えておくことが必要である。

投稿者: jsb 日時: 2010年08月26日 10:00

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