2010年10月のアーカイブ

百蔵クラブ

平成22年10月29日
百蔵クラブ

数百年の歴史と伝統に輝く名門中の名門、老舗中の老舗である、福井県下に37蔵がある。全国的に吟醸酒のメーカーとして地酒の酒蔵盛名を馳せている蔵や、地域に密着して地元の熱烈なファンに守られている蔵まで、その規模の大小はあるが、その品質そして特徴のある味や香りやコクは、実際に飲み比べて見なければわからない。村落の中にひっそりと建つ酒蔵や、町内で作り続けられている蔵、山間にある蔵それぞれ訪れてみて初めて発見することが多い。地酒を愛し、これを次世代に、私達の宝物として文化として引き継いでいく為には、まず自分自身で見てみなければならない。そこで地酒37蔵をすべて巡回することを目的に、「百蔵クラブ」を作ることにした。
まず最初は奥越の四蔵を訪ねる旅である。11月13日の土曜日に福井駅東口9時集合し、白龍、一本義、花垣、源平の4蔵をまわって夕方18時に帰着する予定である。昼食・弁当付、試飲あり。飲酒運転にならないようバスで巡回する。
願わくば地酒のファンを増やし、県内観光の旅を通して、故郷福井のよさを見直す機会になってほしい。そしてその地酒のすばらしさを内外に発信していただきたいものである。

ロータリークラブ

平成22年10月28日
ロータリークラブ

ロータリークラブは世界一のボランティア団体である。世界に33,000のクラブがあり、124万のメンバーが今日も奉仕活動に従事している。私の所属している福井北ロータリークラブは2650地区で、今年度(2010年7月1日〜2011年6月30日)は地区ガバナーに、クラブの栗田幸雄氏が就任された。ガバナー事務所の幹事団として、私達も忙しい日々を迎えている。テリトリーは京都府、奈良県、滋賀県、福井県全域で、クラブ数96クラブ、メンバー数4,668名の世界でもトップクラスの実績を持つ地域である。
ガバナーに随行して各クラブを公式訪問しているが、各地でロータリアンが真摯な態度で奉仕活動に励んでおられる姿を見るにつけ、励まされることが多い。そして長い間あっていなかった旧友や知己、親戚の者に出会って驚くことが多い。私事であるが、私の義父や弟がロータリアンであった。私が就職した時の保証人(当時は立派な保証人を立てる必要があった)は岩崎義夫氏で終生ご指導をいただいたこと立派な方であったが、長浜ロータリークラブのチャーターメンバーだったことと記憶している。私の恩師鈴鹿隆男先生にお会いできたのもロータリーの地区大会や会長会での出来事である。その後の同級会で、先生にお会いした話に花が咲いた。
私達が1990年以来取り組んでいるポリオプラス撲滅運動にビルゲイツが賞賛して2億ドルを拠出するとの報に接した時は、本当に驚いた。この運動は世界中の子供達にポリオプラス(ポリオとは小児マヒのこと、プラスとはそれに類する小児疾患)の予防ワクチンを接種し、世界中からこの悲惨な病気を追放しようというもので、大きな成果を挙げている。各地で撲滅終了宣言が行われているので、後十年もすれば地上からこれ等の病気がなくなることを信じている。
国際連合が結成された時、その代表団の中にロータリーメンバーが49名いた。そして国際的な現在のロータリークラブ(RIという)の中に、模擬国連を作り、理想的な国際活動をするべきだという提案がなされている。核武装反対決議の提案は、私達のクラブから過去3回提出している。ロータリークラブ活動を単なる昼食会と批判する短慮な人達に対して、もう少し深くロータリークラブ活動を知らせる必要を痛感している。

日本酒の明るい未来

平成22年10月27日
日本酒の明るい未来

江戸時代元禄期には、日本国中に地酒の酒蔵が建ち並び、活況を呈していた。それが明治以降外国のワイン、ビール、ウィスキー等が輸入されたり、国内での製造をはじめたりで、日本酒の独壇場であった日本市場は、百花繚乱の時代を迎えた。日本酒の生産・消費のピークは、昭和45年頃であったが、その後徐々に市場は縮小をはじめ、現在、地方の銘酒は苦戦を強いられている。殆どの酒蔵は、創業以来、数百年を経過しており、かつての大庄屋や大地主の面影を今にとどめている。そして日本酒の製造方法は、独特の「並行複発酵」という世界唯一のものであり、米を原料とする健康飲料である。
寿司や和食の日本食が世界中で注目を集めている。飽食の時代に、低カロリーで高栄養であることが認められたのである。魚介類や山菜を含む日本食のブームは、21世紀が入った後も、さらに世界中から求められ、もてはやされている。健康長寿食、肥満防止食として、広く認められるようになったからである。
苦境に陥っても、知恵を使え努力を続けていれば必ず成功するものである。日本酒のよさを世界の人々は殆ど知らない。それをどのようにして知らせていくか工夫が必要である。未だ売れていないということは、これから売れる可能性は非常に大きいということである。日本酒にとっての世界市場は膨大である。その可能性に挑戦をしてみたいと考えている。単独での進出ではなく、日本食との共同作戦であり、意欲的な地蔵の蔵元との共同作戦である。日本酒の歴史、文化などを調べれば調べるほど、明るい未来が見えてくる。


有効求人倍率

平成22年10月26日
有効求人倍率

「働く仕事がある。働く場所がある」ということは私達にとって大事なこと、幸せなことである。人を求める会社と職を求める人の比率を「有効求人倍率」という。この比率が福井県は高い。日本で常にトップクラスに位置する。ということは福井県が日本中で、最も幸福なところであることになる。
都会の大学を卒業した学生が、故郷へ帰らない理由の第一は、故郷には仕事がないからだという。福井県出身者の若者達も同じことをいう。そして3分の2の卒業生は都会で就職し、福井へ帰ってくるのは3分の1である。
本当の理由は、都会の有名企業に就職したいのである。都会の華やかな生活を続けたいのである。それが人生の目標であるかのように、誤解してしまうのである。この誤解を解いてやらねばならない。有名企業に入社し、歯車の一つになってしまうより、故郷に帰り、農業、林業、水産業或いは中小企業を大きくしていくことに人生を賭けることがいかにすばらしいかを教えてやらねばならない。
リーマンショックから丁度2年が経過した。求人倍率の底はショックの7ヶ月後0.5近くまで落ち込んだ。そして未だにショック前の1.07のレベルまで回復していない。景気は決してよくないが、福井県では働く機会は、十分とはいえないが、日本中でトップクラスの機会が常に用意されている。職業に貴賎はない。「自分の初めての職場を転職として努力せよ」と私の恩師が教えてくれた。道は必ず開けてくる。職を選ばず、努力するところに幸せがある。福がある。


勝山市

平成22年10月25日
勝山市
山岸正裕市長に福井の魅力、勝山の魅力について語っていただく機会を持った。そして知っているつもりの私が腰を抜かす程驚いた。何と勝山市が世界中で9番目にクリーンな市の認定を受けていたという。勿論日本一である。勝山市が世界トップクラス、日本一であれば、福井県も世界のトップクラス、日本一であることになる。そして現在地球環境保全は先進国も新興国も含め、世界中の最大関心事である。世界中の国や地域、各都市が「クリーン宣言」をし、クリーンな都市を目指しているのである。この究極の目的を成し遂げた勝山市に私達は心からの拍手喝采を送りたい。そして勝山市民と共に福井県に与えられたノーベル賞にも匹敵するような表彰である。アメリカのフォーブス誌上に2007年4月16日号で発表されていたのである。
第一はカナダのカルガリー、アメリカのホノルル、フィンランドのヘルシンキ、カナダのオタワ、アメリカのミネアポリス、ノルウェーのオスロ、スウェーデンのストックホルム、スイスのチュウリッヒ、そして日本の勝山市、第10位がスイスのバーン・ジュネーブ、カナダのバンクーバー、モントリオール、アメリカのボストン、ピッツバーグそしてドイツのネルンバーグの7都市が同点となった。勝山市は世界の大都市の中で堂々の第9位である。まさに奇跡のような調査結果である。
私は勝山が大好きだ。九頭竜川の流域に広がるまちには一入の愛着がある。私の最初の営業エリアが勝山、大野であった。当時の京福電車で勝山まで行き、駅から歩いて、勝山のお客様を一軒一軒訪問して営業していた。お客様とは家族のようなお付き合いをしていただいたものだ。鋳造所、酒造所、醤油屋さん、機業場をはじめ、学校、郵便局、市役所などへ石炭を売り歩くのが仕事であった。冬の豪雪時には電車がとまり、勝山で1泊したことさえあった。
平泉寺は白山と共に古来有名であるが、奥州の平泉寺の方が、今では名が通っている。しかしこちらが親元である。白山も石川県にあるが親元は越前禅定道が玄関であり、泰澄大師によって開かれた霊山である。初めて平泉寺へ参るのであれば雨後を選ぶとよい。苔の美しさ、自然の荘厳さに胸を打たれるはずである。恐竜博物館、ゆめおーれ勝山、勝山大仏、勝山城、スキージャム、左義長そして県内最大の酒造場一本義久保本店どこへ行っても勝山はすばらしい。私は勝山スキージャムから法恩寺山下から大野へ抜けるドライブコースがお気に入りで、紅葉、新緑すべてが美しい。勝山は日本の宝、世界の宝であることを喜びたい。

海外で見直される日本の食文化

平成22年10月20日
海外で見直される日本の食文化

伝統的に日本は米文化圏に所属している。稲作漁撈文化圏と呼んでもよい。縄文時代の森と海の文化そして稲作が拡大していく中で生まれたのが日本文化である。急峻な山に降る雪や雨を利用する水稲栽培は、日本人の技術を高め、米の品位を上げてきた。そして自然の猛威と戦いながら暮す人々は、神や仏への信仰を深め、日本独特の米と麹による清酒文化を育んできた。麦をベースとするビールや、ぶどうから作るワインと違った文化圏だったのである。そして最近日本人の食生活が見直され、日本の食文化が海外で受入れられ、もてはやされている。低カロリー食でありながら「健康長寿食」なのである。
ところが肝心の日本酒の消費が年々低下している。日本酒は健康長寿酒であるにかかわらずその消費量は100万klであり、ビールの700万klに追い抜かれてしまっている。日本人が日本酒を大切にしなくて、誰が日本の食文化を支えるのだろうか。主食としての米、そして食前酒、食中酒、食後酒として世界一と折紙がつくられる日本酒、この日本の食文化の柱を、私達自身が大切に守り育てて、そのよさを海外に発信していく必要がある。その目的の為の小さな第一歩として福井えきまえのエコライフプラズ1Fに「九頭龍・地酒百蔵」をオープンする。心ある方々の御支援をお願い致したい。

インフレとデフレ同時進行

22年10月19日
インフレとデフレ同時進行
川上インフレ、川下デフレといわれる現況が進行中である。川上とは資源の価格が世界的に高騰しているのに対して、川上の製品の需要がふるわず価格低迷の状態となっている。この要因は大きくわけると二つある。まず最大の要因は、有限といわれる資源への投機資金の流入による価格上昇がある。資源の偏在に対する危惧と、それに対するリスクマネーの大量流入が起きているようだ。これはリーマンショックの原因となったアメリカのサブプライムローンを想起されるようで心配である。世界各国の景気対策や自国通貨安競争により、資金が大量に市場へ放出されておりながら、実需不振によって、川下の製品に対する購買意欲がもり上がらず、余剰資金が行き場を失っている。これが資源相場を押し上げている要因である。
第二の要因は、グローバル化した資金は少しでも高い効率を上げる投資先を求めて世界中を飛び回っている。非常に逃げ足の早い資金であり、一瞬の油断も許されない。その資金量が増え続けて今や危険ラインに近付いていると見ているのは私だけであろうか。資金の流入する新興国や資源国では、かつてのドイツやアメリカと同様に、バブルが急激に膨らんでしまう。リスクが高まっているのだ。その経済規模と比較して、流入の資金量が多すぎるとますます危険度が高くなるのである。不安定さを増しつつある世界経済の中で、私達自らの企業を守る為に、更に体質改善をすすめ、付加価値の向上に注力していきたいと考えている。

世界を歩いて

22年10月18日
世界を歩いて
若い頃、世界中を歩いた。観光というより、ビジネスである。文字通り歩いた。歩くことによって世界が見えてくる。そして日本のよさがわかるようになる。日本はすばらしい国だ。自然がよい。気候がよい。人情味があふれる国だ。安全である。こんないい国は世界で日本だけである。しかし観光客は来ない。海外よりの留学生も少ない。ノーベル賞受賞者は僅かに16人である。観光収入は世界ランキング22位である。香港よりも少ない。マカオよりも少ない。シンガポール並である。
世界一すばらしいのになぜ観光客が来ないのか。それは世界中の人々が日本を知らないからである。日本を知らない、日本の存在そのものを知らないのに日本のよさがわかるはずがない。日本人は内気である。自分の意見を主張することはしない。謙譲の美徳を好む。しかし世界ではそれは通用しない。議論しなければ軽蔑される。意見をいわなければ能力がないと見なされる。観光立国、ビジットジャパンをすすめたいなら「日本を知ってもらう努力」が必要である。
日本人は単一民族なので、外国語に弱い。これは日本語と外国語の文法の差にある。そして日本語しか必要としない地理的条件にも影響されている。インターネット時代を迎えて、英語が世界語になったが、この世界語を読み書きできる日本人が何人いるであろうか。知識人といわれる人も、政治家も、経営者も、役人も、教師も、英語を不自由なく使える人は少ない。極端に少ない。おそらく人口比でいうと世界で最悪の部類に属するであろう。
観光立国をうたうのであれば、これまた直ちに手を打つ必要がある。先日京都の日本旅館に宿泊した。お客は殆ど外人ばかりという。すべて日本風であるが、置いてある本、カタログ、案内はすべて英語である。「必要は発明の母」というが、道路標識、駅の案内、地図など観光客に喜ばれるおもてなしの小道具類を揃えていく必要があろう。
ハワイへ行った日本人が4泊6日の旅行で使うお金は30万円という。アメリカ人は2週間ハワイへ滞在して30万円使わない。ヨーロッパからイタリーへバカンスで来る観光客も同様である。日本の外国からの観光収入は1兆円程度に過ぎないが、これを4〜5倍にするのはそんなに難しいことではない。4倍にすると、イギリスやドイツ、イタリア並になり、5倍にすると、スペイン、フランス並となる。やっと観光立国となれるのである。
その為には、日本をどうPRするのか、国内をどう変るのか、答えは簡単である。日本全体はさておき福井県を、福井市を変えていこうではないか。

レアアース

平成22年10月15日
レアアース
レアアース(希土類)の生産は、最近では世界全体の90%が中国のチベット自治区を中心に行われている。1980年代半ばまでは、アメリカが世界の消費量の半分以上を生産していたが、最近はアメリカも自国生産を行わず、中国からの輸入に切換えている。レアアースは全世界に分布しており、アメリカ、南米、南アフリカ、オーストラリア、ロシア等で生産可能である。
日本では新素材開発に注力し、レアアース以上の新物質の発見に努力すると同時に、モンゴルでのレアアース生産の支援を決定した。アメリカも第三国の生産拡大支援を打ち出している。同時にアメリカでの自国生産再開を決定した。日本は国内備蓄の上積みの機会をさぐるとの意向を表明。
中国の禁輸の発表は一瞬にして世界のすみずみに影響を及ぼしたようだ。生産が一国に偏ることは、リスクが大きすぎる。それを今回の事件で世界が気付いたようだ。この警告は既に数年前から言われており、今回は、具体的な対処方法の検討と、対策の実施を引き起こしたのである。
宇宙から、レアアースの生産の可能性を捜し出すのはそれ程難しいことではない。近い内に次々と新生産地が発表されるであろう。
第1次オイルショックは1973年10月に起きた。この時はオペックが急激で大幅な原油値上げを通告し、世界が驚かされた。その後第2次オイルショック、そして2年前の第3次オイルショックが起きた。そして産油国の一部は潤ったが、すべてではなかった。中国の対応が常識的な線を超えると逆に全面的な輸入禁止という逆の危機も予想される。
いずれの国も、資源を国際間での交渉の武器にすることは許されない。さもないとブーメラン効果で、逆に困ることが起きてこよう。ガソリンを全く使わない時代がもう目の前に迫っていることに、気付いている人は少ない。しかしその時代は確実にやってくる。

法人税率を下げよ

平成22年10月14日
法人税率を下げよ

20年前の法人税は年間20兆円であった。2009年度の法人税は年間約5兆円である。大幅な落込みである。しかしこの20年間に日本企業が海外に投資した金額は莫大である。そしてその見返りの所得は年々増え続けており、2007年で16兆円を超えている。
年間5兆円の法人税の税率を10%引下げても、国税への影響は、年間で1兆円未満の微々たるものである。ところが及ぼす心理的効果は莫大である。日本の法人税率40%超は世界一高いが、10%下げてもまだ高いのである。10%下げを実行すれば数年以内に20年前の20兆円の税収を生む可能性が高い。
法人税の引下げは景気対策である。心理的な経済効果を生む政策らしい政策である。海外投資にある程度の歯止めをかけ、国内での投資を呼び戻す意味で是非実行してほしいものである。
それによって内部保留や配当の原資が増えるので、国全体では何ら問題はない。海外投資の為の投資資金流出を止めることにより、日本の景気回復の大きな支えになるのである。
また法人税10%下げは、海外から日本への投資の呼び水となる。日本だけが異常に高い法人税率を採用していると国際競争力を失いかねない。10%下げてもまだ高いことを忘れてはならない。雇用増大、賃金上昇、設備投資増加という直接効果を引き出し、消費拡大につながる大型の間接効果が期待できる。
経済団体をはじめ、マスコミも声を揃えて法人税率の一層の引下げ要求を続けなければならない。中国は25%、韓国は24%である。これからの競争相手と比較して日本の40%超は異常に高いことを知らねばならない。まず10%引。そして2段目に更に5%引を実行していくことである。

有利子負債の圧縮

平成22年10月13日
有利子負債の圧縮
各企業共デフレ且つ景気低迷の中、有利子負債の圧縮に取組んでいる。私達の会社でもピーク時70億円あった有利子負債を今期中に半減するべく、資産リストラに取組んでいる。
不動産、いわゆる土地、建物に対する融資が引締められている中での資産リストラは決して楽ではない。
しかし収益還元法によって取得した手持ちの資産は、すべて毎月収益を生んでおり、買手にとっても魅力のある物件である。金額も5,000万円から1億円前後と割合買いやすいこともあり、殆ど毎月成約がすすんでいる。期末までには目標達成が出来るであろう。前期は経常利益1.4億円であったが、いよいよ来年の創業15周年を迎えるに当り、今期は倍増でしめくくりたいと念じている。
日本全体を考えてみると収益還元法にとって、もっとも不自然なものは、土地取得に関わる支払利息が、個人の場合、損益通算できないことである。1990年のバブル崩壊時に認められなくなって以来、賃貸経営者の悩みの種となっている。
また、不動産の流通が停滞している中にあって、税制面からの支援策が何ら打たれないもの大問題である。政府は景気対策に全力を上げると言っているが、真の政策らしい政策は何一つ具体化しない。法人税率の引下げが実現しないから、企業はどんどん海外投資に精を出す。国内のリストラばかりとなってしまう。不動産関連諸税も同様である。低くすること、安くすることで需要は動き出す。税金も全く同じである。勇気を出して正しい政策を実行されるよう希望したい。

金融緩和策

平成22年10月12日
金融緩和策

日本の政策はいつも「ツーリトル、ツーレート」といわれる。今回の世界不況に対する対応もその通りとなった。日銀は4年ぶりにゼロ金利に引下げ、量的緩和に踏み切ると発表。やっとアメリカ、EU並みの危機感を持ってくれたようだ。今後、量的緩和が市場でどのように実現されていくか注目したい。なぜならこの十年間の資金供給量を見ても決して十分とはいえない。量的緩和策が不十分である。
更に問題なのは、市場への資金提供だけに終らせるのではなく、金融緩和策と同時に、投資意欲を喚起する経済政策を打つ必要がありながら、これが全く行われず等閑にふされている。
根本的には地価と株価の低迷に対して、有効な政策が打たれていないことである。不動産関連諸税の引下げをはじめ、株式投資への誘導政策は皆無である。地価や株価の低迷で、経済活動がどの程度阻害されているのかを気付かないはずはない。株価の下落を調べてみればよくわかる。東証一部の時価総額の過去のデータを見ると、2004年は前年比45兆円増、2005年は32兆円減、2006年は17兆円増、2007年は63兆円減である。そして現在と比較してすると、2007年比130兆円のマイナスとなっている。130兆円分の国富がなくなっているのである。
地価は20年間下がり続けて、何の手も打たれていない。国富喪失分は想像を絶する大きさである。日本の金融システム上、土地担保の金融が中小企業分野ではいまだに色濃く残っている中で、20年間下げ止まらない地価対策が行われていない国は異常である。土地や株式担保の借入がまだ常態化している中での無策とは、国のリーダーの資質を疑わざるを得ない。デフレ下の地価や株価の低迷は、景気に大きな影響を与える。活発な経済活動を誘発する「成長戦略」をとるべきである。
日銀がゼロ金利を、続ける宣言の中「消費者物質上昇率1〜2%の実現まで」と明言したのは評価できる。政府が速やかに成長戦略を実行してくれることを願いたい。

電気自動車

平成22年10月8日
電気自動車

私の予想通り、電気自動車の普及が加速度的になってきた。ガソリン車に比較すると、電気自動車の部品点数は約3分の1である。一番重いエンジンが不用になり、エンジンの出力を伝える部品も大幅に減り、ガソリンもガソリンタンクもいらない。それに替わって電動モーターと電池が必要になる。
自動車は芸術品である。あらゆる部品は、その強度、耐用年数など、バランスのとれたものばかりが要求される。特にエンジンやトランスミッションまわりに要求される技術は高度なものである。その一番求められる一番難しいエンジンまわりが汎用モーターに置き換えられることになった。これは自動車の革命というより、新しい乗物の出現といった方がよい程の衝撃を与えそうである。
自動車関連業界に身を置く私にとっても、対応を誤るとピンチにつながり、うまく対策すると大きなチャンスとなる。今迄新規参入が難しかった自動車業界へ、中小企業がなだれを打って参入してくるだろうと思われる。この分野の可能性は途方もなく大きく、未来は明るい。未知の世界が多いので、不安を感ずる人が多いのは事実であるが、2050年までに温暖化ガス排出量マイナス80%にする最短の良策がこの電気自動車の普及である。そしてその重要部品、新電池の開発である。これ程明確な目標がある新技術開発は、当然なし遂げられることを疑う者はいないであろう。
原子力発電に使うウラン資源の確保、原油や希少貴金属の確保に血まなことになっている権力志向の国々を見ていると、私達の目指す新技術開発がもたらす人類への幸福の大きさを実感する。「イノベーション」といわれる新技術と、地球を愛する人間愛を両立していかねばなるまい。

有機栽培

平成22年10月7日
有機栽培
私の会社の取締役を長く勤められ、前期に引退していただいた高野盛久氏は私の竹馬の友であった。私の家の田と、彼の家の裏庭が地つなぎであった。そして何度も同じクラスになった。小、中、高と同じであった。大学は違ったが、同じ京都だったので、麻雀や囲碁でよく徹夜したものである。その彼が三菱化成に入社し、私は商社へ入った。三菱化成はその後三菱化学となり、三菱ケミカルホールティングになり、彼はどんどん出世し、副社長となった。そして退社した後私の会社の社外取締役として、主として経理面のアドバイスをしてくれていた。その彼の言葉の中で「環境問題は私は弱いよ、どちらかというと加害者側の人間だからね」というのが印象に残っている。肥料メーカーの役員を長く勤めた人の弁である。
今、有機栽培が注目され出した。私も福井えきまえの活性化に取組んでいるので、遅ればせながら、有機栽培米の販売に協力することにした。エコライフプラザの一階に店を開く。十月二十二日にオープンする予定で準備をすすめている。
日本の米の生産量は1千万t程度で世界中の2%以下である。そしてこしひかりがその内の3分の1以上を占めている。こしひかりは福井県農林試験場で誕生し、今や日本中で栽培されるようになった。その品種の孫・子を入れるとほぼ全量がこしひかり一族である。よくぞ育ってくれたものである。
ところが有機栽培の普及は、いまだに0.1%である。もてはやされていながら、普及していない。まだこれからである。この貴重な科学肥料が残留しない有機栽培米を作っている人々と交流を深めながら、子々孫々に人の命の貴さとお米のおいしさそして米作りに励む人々に対する感謝の心を伝えていきたいと考えている。

「姫」ドラマ

平成22年10月6日
「姫」ドラマ
NHKの大河ドラマの来年のテーマは「戦国の姫たち」となって、現在撮影が順調に進んでいる。織田信長の妹お市の方と浅井長政の娘たち三人をめぐる戦国悲話である。お市の方と「茶々、初、江」の三人娘は、長浜の小谷城落城の折救出されて、信長の指図で津の伊勢上野で生活した。そして信長死後柴田勝家の正室となった。が北ノ庄城は豊臣秀吉に攻められ落城。お市の方は勝家と共に自刃。三人の姫たちは救出され、茶々は秀吉の側室淀君となり、豊臣秀頼を生んだ。初は小浜藩主京極高次と結婚、姉(豊臣)と妹(徳川)の間に立って、種々斡旋を行った。江は徳川秀忠(二代将軍)の正妻となり、徳川家光(三代将軍)、千姫(豊臣秀頼正室)、和子(後水尾天皇中宮)を生んだ。戦国時代の最後を彩った女達を描く大河ドラマが待ち遠しい。
柴田勝家、お市が自刃した北ノ庄城の本丸跡に柴田神社が建っている。主神は柴田勝家、お市を配祀、境内には三姉妹神社がある。柴田神社に面して私達のコインパーキングが稼働中で、来年は大繁昌するかと秘かに期待しているが、如何であろうか。北ノ庄通り周辺に8ヶ所のコインパーキングがある。
それよりも来年注目しているのが姫ドラマの氾濫である。今は女性が強い女上位の時代である。女性を主人公とする大河ドラマの成功は疑いのないところである。それだけに姫ブランドが大活躍するものと期待している。私の予言がまた一つ当るように思うのだが・・・。

 

私の履歴書

平成22年10月5日
私の履歴書

日本酒造組合中央会の会長をつとめた大倉敬一氏(月桂冠相談役)が日本経済新聞の朝刊の文化欄に「私の履歴書」を連載するという。そして2010年10月1日から始まった。月桂冠は伏見の老舗、創業は寛永14年(1637年)である。大倉敬一氏は13代目の当主として、昭和2年3月に生まれ、私より丁度10歳の年長である。
戦中戦後の艱難辛苦をのりこえて、日本酒の発展と共に月桂冠を守り育ててこられたことは、誠に喜ばしい。
「私の履歴書」は各界の第一人者が、自らの人生を書き残す記録であり、人生訓でもある。過去何十年も続いて読者をひきつけている長寿企画である。人物伝としても十分活用できる便利な読物で、過去の「私の履歴書」は何十冊にもなって発行されている。その風格の高い企画に、日本酒造業界から選抜されたという事は、業界にとっても光栄であろう。願わくば次々と日本酒の業界からこのような名誉を受けられる逸物が誕生されることを祈りたい。
私は今、福井県下の酒蔵をまわっている。世代交替が実現中で、若手の経営者が新しい感覚で挑戦を続けている。販売戦略や酒米づくり、産地ブランドづくり、古酒・貯蔵方法の研究など誠に頼もしい限りである。明日の日本酒は面白い。これが私の実感である。


酒蔵の閉鎖

平成22年10月4日
酒蔵の閉鎖

先日もまた長い歴史を持つ有力な地方の酒蔵の閉鎖の報に接し、胸が痛んだ。需要の減少が最大の原因である。それと同時に大手酒造メーカーの紙パック入低価格酒が、地方の銘酒に大きな痛手を与えている。
福井県の酒造業の中でも老舗中の老舗、延宝元年(1673)創業の源平酒造さんである。大野市の4酒蔵が足並み揃えて地域ブランド育成に立ち上がろうとしていた矢先の悲報である。源平ブランドで各地の鑑評会で数々の受賞に輝いた名門の酒蔵である。
長年に亘って日本酒の売上は、減少傾向が続き、地方のオーナーは名門の家名を守るのに必死の努力を傾注しておられる。それを目のあたりにしている私にとって誠に悲しい報せとなった。
地方の酒蔵が「吟醸酒」や「純米酒」を掲げて、大手の酒蔵へ挑戦をはじめ、その成果が上り出していた。福井県でも「黒龍」や「梵」が独自のブランドの全国展開をはじめ、差別化の時代に入りつつある。堅実経営のお手本が目の前にありながらの無念のリタイヤである。幸い、後継の引受手を捜すとのことで、新しいオーナーの出現を待ち、共に日本酒の普及に注力していきたいと考えている。

旱魃

平成22年10月1日
旱魃
ある年旱魃があった。山の斜面に生えた杉の木がてっぺんから枯れ出した。世界各地で集中豪雨がおき水害が発生するかと思えば旱魃による大規模な山林火災が起きている。地球温暖化の影響なのであろう。いずれにしても極端から極端に変化する。酷暑と冷夏が隣り合わせになるのである。
今年は113年ぶりに日本列島は暑い夏となった。観測が始まった113年前以来の酷暑だという。すぐ手を打たないと、もはや取り返しがつなかいことになりそうである。後悔先に立たずである。
日本はアジアモンスーン地帯の最東端に位置し、水の心配はないと思っている専門家が多い。しかし歴史的に見ると、旱魃や日照不足による凶作の記録は数多く残っている。油断はできない。
てっぺんから立ち枯れした杉の大木は、数年を経て、新芽が吹き出し、今や元通りの大木に生まれ変わった。大した生命力である。植物は移住できない。どんなに環境が悪くなかろうとも、与えられた場所を自分の生きる世界として、その環境に合わせて生きていく運命である。
人間はその点わがままである。暑ければクーラーをかけ、寒ければ暖房を入れる。移動手段は車、電車、船、航空機等何でも選ぶことが可能である。何でもできると過信した結果が、この地球を覆う異常気象である。今こそ人間の英知が試されようとしている。「万物の霊長」と自負するのであれば、地球を救うために、過度な自らの欲望を抑え、隣人に尽す生き方に変っていかなければならない。