大きな計算

10月8日
大きな計算
ディズニーランドの近くに住んでいた。千葉県の企業局が三井不動産と取組んだ東京湾岸開発が進み、海浜幕張の駅前に第3セクターのビルが建った。分譲ビルの17Fの1室に陣取っていた頃だ。その過大とも思える土地投資を見ていて、ディズニーランドの成功を調べたくなった。何故これ程の大きな投資(1,000億円程度)が成功したのか。そこには大きな計算が隠されていたのである。千葉県も三井不動産も京成電鉄も誰も土地を所有していた訳ではない。勿論漁民もである。埋立地という海上の土地約260万坪の所有権を売買したのである。売ったのは千葉県と漁業組合、買ったのは三井不動産と京成電鉄の合弁オリエンタルランド。そして1975年にディズニーランドが完成した。その時私は社命によりアナーバーのミシガン大学に留学中であった。まだ京葉線が開通する前で、ディズニーランドへは浦安駅から直通のピストンバスが出ていた。大きな計算が行われたのである。ディズニーランドが成功した最大の理由は、購入した埋立地が260万坪。ディズニーランドの敷地が115万坪。漁業組合への補償18万坪(1,800人の漁業権/人100坪)。残った土地が127万坪。坪50万円としても6,350億円の評価の土地を手に入れたことになる。オリエンタルランドは、この土地へ少しずつホテル業者の進出を促して、仲間を増やしていったのである。
もう一つの成功要因は、ハードネゴシエーションだった。本場のディズニーランドとの交渉を最後まで粘り、条件面で一歩もひかなかった。そして大型駐車場を用意したり、第一生命等の協賛企業を取り込んだりと、優れた経営戦略に裏打ちされていた。毎週の花火も今では珍しくはないが、開園当時は夢のようなイベントであった。人々に夢を売る仕事を間近で見ていた私はそこから多くのことを学んでいたのである。

投稿者: jsb 日時: 2013年10月08日 12:37

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