西田天香さん(1872〜1968)享年97才

8月28日
西田天香さん(1872〜1968)享年97才
西田天香さんは明治5年(1872)の生まれで私の祖父と同年である。生家も近い。小学校卒業後新島襄の薫陶を受けた堀貞一やパートレットからキリスト教や英語を学ぶと同時に、私塾で史書や漢籍に親しんだ。21才の時渡道、開拓を河路重平らと行ったが、失敗。明治37年長浜へ帰る。そして八幡宮の隣、舎那院の本堂(愛染堂)で断食修行。3日後に大悟。トルストイの「我宗教」を読んで大きな感動を受ける。その後一燈園に拠って「無一物中無尽蔵」をテーマの共同生活をはじめた。空なる不二の世界への到達をめざし、宣光社と一燈園という異質の二拠点を併設した。天香の同時代の思想家との違いはこの宣光社にある。労使間の争いを避け、相互扶助の精神で行う。経営者は不二の光明=神仏への奉仕を旨とし、労働者は神仏への報恩を第一とする。そこには一燈園の無所有の思想がある。そして経済と道徳の調和を目指す。資本主義のもたらす争いを否定し、平和な安定した生活を実現しようとした。一燈園の大正2年の生活者について資料が残っているが、宗教家が3割、実業家が3割、教育者が2割5分、あとは芸術家や学生を含む。芸術家の知人、友人や弟子は柳敬助、村上華岳、河井貫次郎、竹下夢二、全和凰、須田剋太、北村西望等がいる。天香さんの一燈園を中心とする執着や所有をはなれた無の生活は「路頭」に立つという考え方であり、実践をともなっている。実践を重視したところが他の思想家と大きく違うところであり、天香さんが大正、昭和の時代の思想家の中で最高ランクに評価された故である。天香さんゆかりの土地は長浜のまちのいたるところにあり、ゆっくりとその功績と生涯を学びたいと考えている。

投稿者: jsb 日時: 2015年08月28日 08:48

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