神宮の森

10月29日
神宮の森
明治神宮の森の調査を記録した映像と写真集を養老孟司先生のお宅でいただいた。ブータンミュージアムへ帰ってじっくり観賞して感動した。あの明治神宮の森(皇居の森に次いで都心では第2位の大きさ)が僅か100年前に作られたのを知った。それも荒れ地だったところに、人工で、国民からの献木(約100万本)で作られたとのこと。その誕生の秘話と、その後4回に亘る調査(1924年、1934年、1970年、2016年)の詳細が手にとるようにわかった。設計の理念は「永久に荘厳なる真正の林苑」とし、あらゆる知識を駆使し、人手を加えることなく150年後に完成する常緑の広葉樹林をめざした。設計者は本多静六をチーフとし、本郷高徳、上原敬二の3人。時の首相大隈重信の「伊勢と同じように針葉樹の森にせよ」との意見を排し、明治天皇・皇后をまつる永遠に生きつづける森をつくりたいと「150年後に完成する森をつくる」との意見を通したとのこと。1920年着工1922年11月1日完成。今回の4回目の調査には学者146人が参加し、中島精太郎先生、進士五十八先生、養老孟司先生等がリーダーとして活躍されている。映像はNHKが制作、そのディレクターは伊藤博文初代総理大臣の玄孫伊藤弥寿彦さんがつとめた。森の王者オオタカが生息中で越冬しているとのことで、都心の森としてはまさに奇跡としかいいようがない。人の気骨とその先見性には腰を抜かすほど驚いた。しかも当初の狙いをはるかに越え、150年を待たず、100年後の現在すでに設計した狙い通りの「自然の力にゆだねた人口の森」が完成しているのである。その後に加えた人の力は「落ち葉はすべて森に返せ」をずっと守っているだけとのこと。この本とこの映像は、日本人の宝として、世界に紹介したい。NHK制作ではあるが、三人の知人・友人(養老孟司、進士五十八、伊藤弥寿彦)の力を借りて実現したいと切に願う。それほどの美しい映像であり、美しいストーリーであり、力強いエコロジーの思想である。

投稿者: jsb 日時: 2016年10月29日 09:02

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