『消費税を上げる前に』

平成18年3月23日
○『消費税を上げる前に』

 小泉内閣の次の内閣のテーマに、消費税の増税問題が出てきた。増税は国家にとっても、個人にとってもよくない。善悪の判断では「悪」であり、損得の判断でも「損」である。消費税率5%の国は、15%の国よりもコストが安く、国民等しくハッピーである。10%の差があらゆる商品やサービスのコストに反映されるのだ。消費税を上げることは、収入を下げることと同意語と取られ、総需要抑制への強烈な衝動を生むこととなる。国民の消費行動を甘く見てはいけない。

 かつて小渕内閣の時、6兆円減税、10兆円第2次補正予算が内閣成出前に、政治的な判断で決定され、その後実行された。この時の国家予算の10%の減税であり、20%を超える政治判断である。そして金融機関(メガバンク)に対する大型の公的支援の導入が続いた。これによって日本発世界恐慌が回避されたと私は判断している。

 消費税を上げる前に、やるべきことは何であろうか。先ず、最初の仕事は国有財産の有効活用である。国鉄の民営化のプロセスを見てみると、これが重要だということがすぐわかる。私はかつて、東京駅前の国鉄の本社を訪れ、担当の方に国鉄所有地売却の情報をもっともっと国民の目に触れるようにしてほしい、と要請したことがある。結果的に全国にある国鉄所有地の売却の情報を新聞紙上に流し続けて、いかに優良な土地が安く手に入るかを力説した。勿論無償の行為である。国鉄もその後、「情報公開」の重要性を認識され、遅々として進まなかった土地売却が、徐々に改善され、今では、JR用地は花盛りの人気物件である。100年かかってもムリといわれた赤字体質の国鉄が、今や超優良企業に変身された。この理由の第一に挙げるべきものは、自らの持っている財産の有効活用の成功である。

 消費税を上げる前にやるべきことの二番目は、経済政策、財政投融資の直接投資の比率を減らすことである。私はこれをレバレッジ効果と呼んでいる。いわゆるテコの原理の応用である。民活と呼んでもいい。真水といわれる直接投資でなく、信用保証協会の金利負担の1%補助であるとか、地域ファンドを創設して国や地方自治体が5〜10%以下の出資をしてこれに国民の出資を求め、この地域ファンドが新規経済活動を行う企業や団体に貸付していくような新しい仕組づくりを行う事である。レバレッジ効果を利用すると国や地方財政の規模はあたかも10倍、100倍にふくれ上る程の大きな結果をもたらしてくれる。勿論、地域ファンドを次々と作るわけであるので、この運営、監査等には地銀をはじめ監査法人の関与は不可欠となる。

 三番目は官公業務の民間委託の促進である。官公のやるべきでない、不得手な業務や損得に関係する業務はどんどん人をつけて、民間へ委託していった方がよい。その際、長や幹部は必ず民間人を入れること。官公業務に合理性と経済性が導入されることにより、新しい競争が生まれ、自然にスリムな体質に育っていく。JRの奇跡的な復活を見れば、これも疑いのない施策であることに気付くはずだ。
先ず、これ等三つのことをやり遂げた後で、消費税を上げることを検討してもらいたい。

↓ブログランキングへ応援お願いします。クリックお願いします。↓
blog


投稿者: jsb 日時: 2006年03月23日 15:31

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://119.245.185.34/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/569

このリストは、次のエントリーを参照しています: 『消費税を上げる前に』:

» 消費税を上げる前にやるべきことがある  財政再建策 その1
from 野分権六の時事評論

財政再建のために消費税を上げよう、との提言がさかんになされている。 私は、かねて [詳しくはこちら]
トラックバック時刻: 2006年09月07日 13:15

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)